『さようなら、あおいの赤いメガネンティティ』は“自分勝手に作った映画” 『MIRRORLIAR FILMS』公募作品選出は「背中を押してもらえた」

映画

公開日：2024/5/16 16:00

P R： MIRRORLIAR FILMS PROJECT

『さようなら、あおいの赤いメガネンティティ』場面写真（C）2024 MIRRORLIAR FILMS PROJECT

　クリエイターの発掘・育成を目的に、映画製作のきっかけや魅力を届けるために生まれた短編映画制作プロジェクト『MIRRORLIAR FILMS（ミラーライアーフィルムズ）』。Season1～4では、俳優や映画監督、漫画家、ミュージシャンなど総勢36名のクリエイターたちが、個性的な短編映画を発表した。そんなプロジェクトも新たなステージを迎え、Season 5～8は新たに一般公募作品も加わるなど、さらにバラエティに富んだ短編映画が集まった。今回クランクイン！では、シーズン5を彩る6作品の監督、キャストたちにリレー形式でインタビューを実施。第2回目は『さようなら、あおいの赤いメガネンティティ』の巖川虎太郎監督、出演者の北原麻衣さん、温井祥太さんに本作品の魅力を語ってもらった。

■シュールな3人が紡ぐ独特の世界観

　赤い眼鏡をかけたあおい（北原）はある日、田渕くん（巖川）に告白される。あおいは思った。「田渕くんは本当に私のことが好きなのだろうか。私が赤い眼鏡をかけているから私のことが好きなのではないだろうか。赤い眼鏡をかけていたら誰でもいいのではないだろうか」と。それが気になって仕方ないあおいはある作戦を思いつき、自転車で走り出す。

■自分がやりたいことを素直にやっていくことの力って強いんだな

――ミラーライアーフィルムズという企画に応募しようと思った動機を教えてください。

巖川監督：これまでのシーズンは俳優さんや芸人さんなどが監督をされていましたが、今回から僕らのようなまだプロではない人間が作った作品も同じ土俵で上映してもらえるという機会がとても魅力的に感じたので、そこに食い込んでいけたらいいなと思って応募しました。

――とてもシュールでありながら、体温を感じる3人の会話でしたが、どんなところから発想したのですか？

巖川監督：ロケ地が多摩川の河川敷だったのですが、あそこは専門学校時代の友達とよく遊んでいた場所で。卒業制作の映画だったので、その河川敷というロケ地から逆算してストーリーを考えていきました。あまりテーマ性のようなものはないのですが、自分が他人から見られているイメージと、自分が考える自分とのギャップみたいなものを取り入れたいなと思っていました。

――会話劇がメインの物語ですが、アドリブも多かったのですか？　それとも台本通りに？

巖川監督：基本的には台本通りで、リアクションとかも結構細かく書いていました。アドリブはほとんどないです。リハーサルを何回かやって固めていった感じでした。でも温井くんがタバコを吸うシーンがあるのですが、そこはカメラマンの子が「タバコを吸ったら面白いのでは？」と提案してくれたので、その場で採用しました。

――北原さんと温井さんのキャスティング理由は？

巖川監督：温井は専門学校時代の同級生で、俳優ではないのですが、髪も長かったし、女装させたら面白いかなと思って（笑）。北原さんは、シネマプランナーズというサイトから応募してくれたので出演をお願いしました。

――温井さんは、最後まで女性かと思っていました。セリフがないのは、女装がばれないような演出だったのですか？

巖川監督：そういう意図もありました。でも本当は一言だけしゃべらせようかなとも思ったんです。最終的には話し合って喋らない方が絶対面白いという結論になりました。

――北原さんはこの作品のどんなところに惹かれて応募されたのですか？

北原：応募したときは古本屋さんのお話で、この映画のシチュエーションとは違ったのですが、描かれていたキャラクターが自分と似ているなと感じたので、演じたら楽しいかなと思って応募しました。

――巖川監督は、脚本、出演もされていますが、現場ではどんな立ち位置でいたのですか？

巖川監督：あまり監督とか役者とかという役割を意識せず、現場を回すリーダー的な感じで、みんなで力を合わせて作っていったという感じです。

――ミラーライアーフィルムズという企画に参加して、現時点で感じていることはありますか？

巖川監督：今回の作品は、すごく自由に自分勝手に作った映画だったんです。作り終わったあとは、次からは自己満足ではなく、観る人のことを考えようと脚本の書き方も意識を変えようと思っていました。でも今回こういう風に評価していただいて、自分がやりたいことを素直にやっていくことの力って強いんだなと感じました。いろいろ悩んでいた時期だったのですが、自分の好きなようにやっていけばいいのかなと背中を押してもらえた感じがしています。一方で商業的な作品の良さもあると思うので、この企画をきっかけに、次に繋がればいいなと思っています。

北原：ミラーライアーフィルムズはもちろんなのですが、この作品でほかにもいろいろな映画祭に参加させていただき、魅力的な方との出会いがたくさんありました。一緒に仕事をしてみたいなと思う人に出会えたことで、自分ももっといろいろなチャレンジをしていこうという気持ちになっています。

温井：僕はあまりこうしたいみたいな目標はないのですが、やっぱり楽しいことを楽しめればいいなと改めて思いました。

――6つの個性的な作品が並んでいます。本作の注目ポイントを教えてください。

巖川監督：ずっと同じ構図で撮っていて、3人の会話で物語が進んでいくのですが、背景には奇跡的にタイトルにある“赤い”ものが写っているんです。そんな部分にも注目していただけると面白いかもしれません。

北原：3人の掛け合いのシーンはもちろん観て欲しいのですが、私的にはエンディングのシーンがとてもお気に入りなので、最後まで観て欲しいです。

温井：自分の女装姿を観て欲しいです（笑）。

『MIRRORLIAR FILMS Season5』は、5月31日（金）より2週間限定公開。