妖怪絵巻から妖怪ウォッチまで…「愛らしい存在」に変化した妖怪と日本人の関係
諸説あるようだが、湯本さんは「幽霊は人に憑き、妖怪はものに憑く」とも教えてくれた。遊びと結びつく中で身近な存在となった妖怪だが、日本人との関わり合いがどうなってきたのかを聞いてみた。
「一貫しているのはやはり“畏怖(いふ)されるもの”ではなくなったことです。一つ、象徴となっているのは昭和を中心に流行したメンコですね。本来、崇め奉る存在であれば、地面に叩き付けることはできないと思います。しかし、妖怪が愛らしい存在になったことで身近になり、それこそ現代に至るまで、遊ぶツールの形が変わり語り継がれてきたということです」と昨今の妖怪ブームにも見る時代に沿った“在り方”について語ってくれた。
妖怪と人間との関係をテーマに、各所で講演イベントも開いている湯本さん。人生をかけて妖怪と向き合う中で掲げている「妖怪博物館構想」についても伺ってみた。
「20年ぐらい前から思い描いていますが、歴史的資料が一同に介する場所、そして、妖怪の研究を手がける場所を築きたいです。既存の学問体系に囚われず、妖怪をテーマにした様々なアイテムを集めて、多面的な観点から研究できる場所として、後世へ遺していきたいと考えています」。
モノの価値というのは、時代を超えて認められる場合も少なくない。今、研究の進んでいないモノであっても、後世の人たちにとって有用になる可能性は十分にありえると湯本さんは語っていた。日本ならではの“妖怪”という存在が後世にわたり語り継がれるよう、湯本さんの構想が実現される日を心より願いたい。(取材・文:カネコシュウヘイ)
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