『思い出のマーニー』米林宏昌監督、描く上で意識した“アリエッティ”との違い

大人から子どもまで、世代を超えて広く愛されるジブリ作品。3月18日にブルーレイとDVDが発売される、映画『思い出のマーニー』もその一つだ。周囲と上手く打ち解けられない主人公・杏奈の葛藤と、不思議な少女・マーニーとの出会いによる成長が描かれた本作だが、監督として作品を手がけた米林宏昌に、制作当時のエピソードや作品にかける思いを伺った。
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本作は、海沿いの町を舞台にした人間ドラマの印象が強い。持病の療養を目的に親戚の家へ訪れることになった杏奈。思春期には誰もが味わったかもしれない、周囲への不安や葛藤を抱える彼女が、ある日ふと、目の前に現れたマーニーとの出会いを通じて、心が成長していく様子が全編にわたり描かれている。
冒頭から『私は…私がキライ』とその心情を綴る杏奈だが、揺らぎ続ける彼女の心情を描くのは「難しかった」と米林監督は語る。「文章で細かく説明されていた原作と異なり、表情やしぐさから、杏奈の心情を描写するのは試行錯誤の連続でした。ただ、作品を手がけるにあたり心の声をモノローグで語らせるというのは極力やりたくなかったですね。だから、杏奈自身はもちろんですが、マーニーとのふれあいを通じても、彼女の成長がなるべく目に見えるよう表現したつもりです」。
杏奈とマーニーの関係性は物語の鍵を握るが、それぞれのキャラクターについて監督自身が抱く印象も聞いてみた。「二人に共通するのはどこか心の奥底に“闇”や“不安”を抱えているという点です。以前監督を務めた『借りぐらしのアリエッティ』の主人公は、明るくおおらかで、何があってもめげないといういわば“ジブリらしい”女の子だったと思います。一方、本作は世界観もよりリアルにして、観て頂くみなさんが“等身大の少女”として杏奈に寄り添ってマーニーとの時間を過ごせるように、表現も心がけました」。
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