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糸井重里、今だから話せる『MOTHER』制作秘話 新作は「お客さんとして大歓迎」

ゲーム

 ただ、ゲーム作りに興味を失ったわけではないようで、糸井は「素晴らしい出会いがあれば、僕はなんでもする人間だと思う。心が動けば大抵のことは厭わない」と本音を明かす。しかし、スマホゲームに関してはあまり興味がない模様。「その楽しさがあるのはわかるんだけど、僕が考えるゲームとは違う」と断言するが、「ただ、“スマホでこんなことができますよ”っていうワクワクするような面白さがあれば、どこかにたどり着くことはあると思うんで、全くないわけではない」と自身の仕事に対する姿勢をのぞかせた。

 『MOTHER』は、有名コピーライターの糸井がゲームを作ったという面でもインパクトが強く、ゲーム内の台詞も名言が多いことでも知られている。シナリオ面での苦労について質問してみると、糸井は「シナリオに関しては苦労も楽しいんですよ。書きながら宿題にしていることも当然出てくるんですけど、最後にはどこかで解決しちゃうんで。それは、自分がこう脳の中を巡って光を見つけたみたいな感じでしたね」と述懐。

 さらに、「ゲーム中の言葉はすべて、僕が口でしゃべってるのを他のスタッフにタイピングしてもらった」と、制作の裏側を明かす糸井。「だから、ウケるウケないはその場で答えが出るんですよね。あのやり方は残酷なんですよ。心配だから聞くと、“いや、面白いですよ”って言ってくれるんだけど、わかるんですよ。仕草で。そしたら“ダメだあ”ってなっちゃう。それを徹夜して合宿してやってるわけですから、キツいですよ。もうできないなあ」と当時を振り返る。

 最後に、「ファンに何か伝えたいこと」を聞くと、糸井は「どうでもいいことがいっぱい入ってるゲームって、今は作りづらい時代なのかもしれないですね。“くっだらねえよ”と言われちゃいそうだけど、『MOTHER』はそういうもののカタマリですからね。なのにこうして長い時間が経ってからも支持してもらえる。その理由は僕も立ち止まって考えたいですね」と語った。(取材・文・写真:梶原誠司)

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