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『真田丸』で興味を持った人も注目! “城郭ライター”が教えるお城の楽しみ方

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 また城下町を歩くのも城めぐりの楽しみ。名産品が城の歴史につながっていることもあるという。「松江は出雲そばが有名なんですけど、そばってもともと信州ですよね。それには松本城主だった松平直政という人が転勤で松江城の城主になったという理由があるんです。その時に信濃のそば職人を連れてきたんですよ。水や気候が違うので味も食べ方も変わってきて今の出雲そばになったようです」。そのルーツを探るようにひもを引っ張ることが面白いという。「城でタイムスリップする感覚を味わえるのが楽しいという方も多いですが、私は当時の人との距離を縮めていくのが楽しい。外観に見られる美意識や『こうすれば軍事力が上がる』という考え方など、日本人って変わらないんだなという部分を探していくのが楽しいです」と笑う。

 最後に、城に興味を持ち始めた人にお勧めの城を挙げてもらった。「城といえばやはり天守という人が多いと思うので、ぜひ現存する本物の天守を見てもらいたい」とまず挙げるのが松江城。「昨年夏に松江城の天守が国宝になりましたので。松江ではおそばや和菓子、温泉もあり、旅行として行くにも最適」と語る。続いて昨年リニューアルした姫路城。「世界遺産なので日本人なら死ぬまでに一度は見ていただきたいですね。とにかく美しい」とプッシュ。

 そして関東の人には比較的近場の松本城。「黒漆塗りでかっこいい天守群が魅力。黒漆塗りは日本で松本城だけです」。さらに注目点が建物内の作りの変遷。「増築されて今の天守群になりましたが、戦国時代に作られたものと江戸時代のものでは外観の装飾や中の雰囲気も全然違うんですね。戦闘仕様か平和仕様かで。そういう変遷も楽しんでいただければと思います」と語った。

 今年のゴールデンウィークは、先人たちの知恵や生き方に思いを巡らせながら、お城を楽しんでみるのもいいかもしれない。(取材・文:田中裕幸)

 城郭ライター・萩原さちこさんの著書『わくわく城めぐり』(山と渓谷社)、『日本100名城めぐりの旅』(学研プラス)、『お城へ行こう!』(岩波ジュニア新書)、『図説・戦う城の科学』(サイエンス・アイ新書)ほか、好評発売中。

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