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山田尚子監督、モットーは「セオリーを作らない」『聲の形』ヒロインは“天使じゃない”

アニメ

 背景の美しさも印象的だ。「この作品では、“世界が美しくあること”というのは特に意識しました。みんなとても真剣に悩んでいるし、明日の一歩を踏み出すのすら辛そうな子たちばかり。でもすごく一生懸命に生きている。そんな彼らの悩みを肯定したいと思ったし、たくさん悩みがあっても、世の中には青空があるし、花も咲く。彼らを包む世界は、美しく優しくあってほしいと思ったんです」。

 キャラクターの表情や動きの細部にまでこだわり、本作で映し出すべき世界観も考え抜いた。アニメーション界の新鋭と言われる山田監督だが、「毎度がむしゃらで、いつも体当たり。めちゃくちゃ不器用なんですよ」と笑う。「セオリーを作らない」というのがモットーで、作品やキャラクターに向き合う時に一環しているのは、「愛情」。その一方で、「観ている方がどういう気持ちになるかを常に考える」という客観性も忘れない。

 作品を語る温かな笑顔からも、どれだけの愛情を傾けてきたかが感じられる。「人や景色を見る時は、どういう色をしているとどんな気持ちになるのかなど、色や音、形に対しての研究は常にしています」という日常から育んできたセンスはもちろん、作品への熱や温度が伝わるからこそ、山田監督の作品は人々の心を鷲掴みにするのだろう。(取材・文:成田おり枝)

 映画『聲の形』は9月17日より公開。

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