『明日カノ』再現度の高さに「原作に忠実だ…」の声! 雪役・吉川愛の表現力もすごい

カルチャー
2022年4月13日 18:00
『明日カノ』再現度の高さに「原作に忠実だ…」の声! 雪役・吉川愛の表現力もすごい
雪(吉川愛) 『明日、私は誰かのカノジョ』第1話より  (C)「明日、私は誰かのカノジョ」製作委員会・MBS

 マンガアプリ「サイコミ」で連載中の同名コミックを実写化したドラマ『明日、私は誰かのカノジョ』(MBS、TBS/毎週火曜深夜)が「ドラマイズム」枠で放送スタート。4月12日(火)の深夜に放送された第1話では、19歳の女子大生でありながら、“レンタル彼女”としての顔を持つ雪(吉川愛)にフォーカス。誰かの彼女として生きる雪と、あまりにも真っすぐで純真な壮太(楽駆)との決して交わらない平行線な恋模様は見ている人の心を締め付ける切ない展開になった。(文=於ありさ)


■雪の二面性を演じきった吉川愛の表現力

 東京で生きる女子たちを、オムニバス形式で描く同ドラマ。第1話の主役は奨学金をもらいながら大学に通い、日々生き抜くために“レンタル彼女”として働いている大学生・雪(吉川愛)だ。

雪 (C)「明日、私は誰かのカノジョ」製作委員会・MBS
 彼女のプロ意識の高さには、脱帽するものがある。客から「妹系のかわいい彼女と初々しいデートを」とリクエストされたときには、アイボリーに黒ドットのワンピースに、コルク調の素材が目を引くレースアップシューズを着用。卑屈な言葉を浴びせられても「そんなこと言わないで…? 彼女でしょ?」と消え入りそうな声で話し、うぶな女子を再現。見事に客の心をつかんだ。

 その一方で、プロ彼女を演じていない時の雪の心は冷え切っている。親からネグレクトを受けた過去を「ただ、生きていくのに精一杯だったから」と回想するシーンでのナレーションは人前で振る舞う雪の声よりも1トーン以上低い。彼女の中にあるコンプレックスが簡単には拭えないこと、誰のことも信じられない冷めた部分と1人で生きていかなければと自分を守る“持ち合わせるしかなかった“強さを感じさせた。

壮太(楽駆)&雪  (C)「明日、私は誰かのカノジョ」製作委員会・MBS
 さらに、雪が物語の中盤、レンタル彼女の雪を知る客・壮太と出くわすシーンは圧巻。顔の“痕”を隠さず深く帽子を被っていたこともあり、壮太から話しかけられた時に戸惑う雪。そんな様子をお構いなしにレンタル彼女・雪に伝えたいことを述べる壮太。雪はそんな彼に対して「見ないで!」と強く叫ぶ。さらに、「冗談を免罪符にして何を言ってもいいわけじゃない」「人をおとしめて、一時的にでも自分が優位になったつもり?」と、デート中に起きた出来事への彼の謝罪に対して静かに反論し、心の内でしっかりと傷ついていたことをほのめかした。

 第1話の中で、レンタル彼女としての雪と、コンプレックスだらけの雪を、さまざまな表情で見せた吉川。彼女の表現力の高さが、救いようのない闇を抱えたヒロイン、雪をコミックの中から現実のものにしたのだと感じた。

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明日、私は誰かのカノジョ

於ありさ(ライター)

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