中村蒼、楽しくも悩んだ2021年 30代は「先頭に立つような役もやっていきたい」

インタビュー
2021年12月24日 18:30
中村蒼、楽しくも悩んだ2021年 30代は「先頭に立つような役もやっていきたい」
中村蒼  クランクイン! 写真:松林満美  ヘアメイク:Kazuya Matsumoto スタイリスト:秋山貴紀

 12月18日(土)に前編が放送された土曜ドラマ『風の向こうへ駆け抜けろ』(NHK総合)。地方競馬を舞台にした本作は、平手友梨奈が演じる新人女性騎手・芦原瑞穂のひたむきな情熱が、人生を諦めていた人々の心に火を付けていく物語です。今回クランクイン!トレンドでは、12月25日(土)に放送される後編を前に、本作で一癖ある調教師・緑川光司役を務めた中村蒼にインタビュー。本作にかける思いや、出演作を通して改めて感じた“エンターテインメントの意味”についてたっぷり語ってもらいました。(取材・文=山田果奈映/写真=松林満美)


■レアなヒゲ姿にも挑戦!

ーーまずは台本を読んだ時の物語の印象や、中村さんが演じる光司について教えてください。

競馬界を舞台に、競馬場を駆け抜ける馬が当たり前のように出てくるドラマはあまり見たことがなかったので、壮大なスケールの話だと感じました。それこそこんなに馬が出てくるのは時代劇以外でなかなかないですよね。自分にとっても未知の作品で、すごく楽しみでした。

過去に挫折を経験した光司は、一見何を考えているのか分からなくて、ただ時間が過ぎるのを待っているかのような男です。後半は光司が再生していき、もともと持っていたリーダーシップを発揮して厩舎(きゅうしゃ)のみんなを引っ張っていくようになりますが、僕自身、挫折した人間もリーダーらしい人間も、あまり演じたことがなかったので、どう演じていこうか悩みました。


ーーご自身の中でも新しい役どころだったんですね。光司は口数が多くないからこそ、発する一言に重みがあり、瑞穂たちの心を動かしていたように感じました。演じる上で意識したことはありますか?

ケガや八百長疑惑をかけられて騎手を辞め、何もかも諦めているように見える光司ですが、その一方で、心根は優しい人物で、もともとは瑞穂のように希望に満ちあふれていたし、熱い思いを持っていた男だろうと思いました。

共に夢を目指す厩舎メンバーは、結構癖のある人たちが多くて、ほかの人たちから割と煙たがられがち。でも、光司は外見や上辺で人を判断しない。偏見の目で人を見ないというところが光司の良いところだと感じたので、演じる上で、性格の悪い人には見えないようにしないと、と心がけていました。

ーー現代のヒゲ姿と騎手時代のビジュアル面の変化も印象的でしたよね。

今までヒゲを生やすことがなかったので、自分でもヒゲ姿はレアです。最後にヒゲがない姿を撮影しましたが、その時の自分にすごく違和感を覚えました(笑)。

■平手友梨奈は「すごく誠実な方」

『風の向こうへ駆け抜けろ』より (C)NHK
ーー瑞穂役の平手友梨奈さんとは今回が初共演です。

平手さんは、毎シーン毎シーン撮り終わったら「やりにくいところないですか?」「ここはもっとこういうふうにしたほうがいいですかね?」と逐一聞いてきてくれました。作品をより面白くしようという気持ちが伝わってきましたし、すごく誠実な方です。瑞穂の力強さや、挫折しても立ち上がる姿、頼もしい感じは、平手さん自身も持っていらっしゃると感じたので、本当に瑞穂とリンクしていましたね。

ーー光司は平手さん演じる瑞穂の“先生”として彼女を導く役柄ですが、現場では平手さんに対してアドバイスをすることもあったのでしょうか?

いや…。劇中で「先生」と呼ばれるのもなんだかすごく不思議な感じでした。実際に馬に乗るのは平手さんの方が上手で、光司が満を持して教えるというシーンも、僕の馬はなかなか発進してくれないんですけど、平手さんの馬はすんなり発進したということもありました(笑)。

次ページ:『エール』と本作を経て感じた 東日本大震災への思い

1ページ(全2ページ中)

この記事の写真を見る

イチオシ!

中村蒼

国内ドラマ

俳優

取材

インタビュー

あわせて読みたい

[ADVERTISEMENT]

おすすめフォト

【行きたい】今読まれている記事

【欲しい】今読まれている記事

【イチオシ】今読まれている記事