時を超えて愛される『君に届け』 “爽子のすごさ”は大人になった今だからこそわかる
南沙良と鈴鹿央士が出演するドラマ『君に届け』が、3月30日よりNetflixで世界独占配信されている。このドラマの原作は、2006年から2017年まで少女まんが雑誌「別冊マーガレット」(集英社)で連載された椎名軽穂による同名漫画。長い髪と青白い肌から“貞子”と呼ばれている黒沼爽子(南)が、明るく爽やかなクラスの人気者・風早翔太(鈴鹿)と接することで、次第に変化していく様子を描いていく。本稿では、『君に届け』が時代を超えて愛されるワケや、今回の実写ドラマならではの魅力をひも解いていきたいと思う。(文=菜本かな)
【写真】鈴鹿央士の輝く笑顔にキュン 令和版・風早くん
■令和版『君に届け』から感じた強い“覚悟”
アニメにゲーム、そして実写映画とさまざまなジャンルで人々を魅了してきた『君に届け』。なかでも、2010年公開の実写映画は、あまりにも印象的だった。それまでの私は、大好きな漫画の実写化が発表されるたびに、「二次元のままでいてくれ…」と思っていたのだが、その考えが180度変わるきっかけとなったのが、多部未華子&三浦春馬さんで実写化された映画『君に届け』だったのだ。
あれほど成功を収めた作品がある中で、今回新たに実写ドラマ化するのは、かなりの勇気が必要だったはずだ。どうしても前作と比較されてしまうし、視聴者も先入観を抱いてしまうから。しかし、だからこそ、今回の『君に届け』から強い“覚悟”が伝わってきたのかもしれない。13年前のいいところを取り入れつつ、新しい“青春”を作り上げていく。そんな思いがあったからこそ、2010年版を愛していた人や、原作漫画のファンを引きつけることができたのだろう。
久しぶりに『君に届け』の実写化を見て感じたのは、“青春”というのは変わらない、普遍的なものであるということ。つい、周りに流されてしまう弱さや、それでも強くありたいと願う気持ち。カーストのようなものにとらわれてみたり、個性を貫いている仲間を“変わり者”とやゆしてみたり。でも、列からはみ出せる勇気がある人にちょっぴり憧れてみたりする。そんなチグハグな思いを抱えたまま、私たちは大人になっていくのだ。
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