千早×太一をもっと見たかった! 大人世代にも刺さった『ちはやふる-めぐり-』を振り返る
■太一&新と重なる風希&懸心
太一は梅園の風希(齋藤潤)に、新は瑞沢の懸心(藤原大祐)に稽古をつけることになった。才能あるライバルに追いつくために必死で努力をしている風希は、かつての太一を思い起こさせるし、才能があるがゆえに周囲の弱さを理解できずにいる懸心は、団体戦で苦悩していたころの新とどこか重なって見える。
ちなみに、現在のかるた名人は新。太一は準名人として、新の背中を追いかけている。10年前、高校最後の全国大会決勝で、“優勝”を賭けて激闘を繰り広げた2人が、今もなおお互いを刺激し合うライバルであり続けているなんて…!
しかも、最終回では太一に特訓を受けた風希と新に指導を仰いだ懸心の戦いが描かれた。かつてのライバル関係が、“めぐり”となって次世代に受け継がれていくさまは、まさに『ちはやふる-めぐり-』のタイトルを体現している。
一匹狼タイプの懸心は、団体戦を苦手としていた新とかぶる部分がある。そんな懸心に、新が送ったアドバイスは「団体戦で本当に強い相手は、カルタが強いだけじゃない。仲間ごと強くしていくんや」だった。
決勝の追い詰められた場面で、仲間に掛け声を送っていた懸心の姿に、かつての新を重ねたのはわたしだけではないだろう。また、風希が懸心のことを「あいつには一生勝てねえ」と言ったとき、太一が「青春全部かけてから言え」と返したのも印象的だった。
これは、高校時代の太一が師匠・原田秀雄(國村隼)からかけられた言葉。決勝戦の最中、風希はこの言葉を思い出して強くなることができたのだと思う。懸心と風希の対戦は、新が稽古をつけた懸心の勝利。『-結び-』の全国大会では太一が勝利を収めたが、本作では間接的に、新が太一にリベンジを果たしたと言える。
また、青春ドラマには“恋模様”が欠かせない。太一と新は、かるた選手としてだけでなく、千早をめぐる恋のライバルでもあった。
次ページ:もっと見たかった…千早&太一コンビ