千早×太一をもっと見たかった! 大人世代にも刺さった『ちはやふる-めぐり-』を振り返る
■もっと見たかった…千早&太一コンビ
映画版に話を戻すと、幼なじみの千早・新・太一は、小学生の頃、いつも競技かるたで一緒に遊んでいた。ちなみに、2人に競技かるたを“布教”したのは新。しかし、彼は故郷の福井に帰ってしまう。
そこから、太一は千早と同じ瑞沢高校に進学し、ともに競技かるた部に所属する“仲間”となるわけだが、新は福井県にある藤岡東高校に進学。全国大会では“ライバル”として2人の前に立ちはだかることになった。
この流れだと、太一の方が優勢に思えるが、映画版で千早に告白をしたのは新だけ。あんなに近くにいたのに、太一は千早に想いを伝えられていない。
ちなみに、新は全国大会の会場で千早に「すきや。千早」と告白(この告白、最高すぎるのでぜひ映画版でチェックしてほしい…!)。しかし、千早は「もっと強くなって、詩暢ちゃんみたいに周りに強さを与えられる人になりたい。世界一になりたい」と曖昧な返事しかしなかった。
なので個人的には、『ちはやふる-めぐり-』で、千早と太一の絡みがもっと見たかった気持ちもある。ドラマ版の最終回で、奏と駒野がゴールインしたかのような描写があったが、千早と太一はどうなっているのだろうか。およそ10年の月日を経て、本当の友達になったのか? それとも…?
千早をめぐる太一と新の三角関係の行方も気になるところである。その一方で、風希と懸心のライバル関係はまだまだ続いていきそうだ。
ドラマ版でいちばん印象に残った台詞は、奏がめぐるにかけた「過去はやり直せないけど、今からそれを正解にできる」。「もしも、あのとき違う道を選んでいたら…」と後悔をした経験がない大人はいない。誰もがめぐるのように、“もしも、あのとき”を抱えながら生きている。でも、過去には戻ることはできないから、わたしたちは“今”を全力で生き抜くしかないのだ。
ドラマ版の中心人物は、劣等感を抱えているキャラクターが多かったため、映画版のような華々しい快進撃…はなかったが、むしろそこが大人世代に刺さった理由なのだと思う。この夏、『ちはやふる』に再会できて良かった。またいつか彼女たちの“青春”が見られることを心から願っている。