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特集・レポート
2019年7月1日 15:30

■『Girl/ガール』


『Girl/ガール』場面写真  (C)Menuet 2018
 朝起きて一番にストレッチ。鏡を見ながら、ピアス穴を開ける。そんな風景から始まり、主人公ララがトランスジェンダーであることに気付くのは、映画開始から約5分が経ったときでした。

 物語は、プロのバレリーナを夢見る15歳のララが、国内有数のバレエ学校への試験編入が認められ、父と弟とともに、新天地へと引っ越すところからスタートします。しかし、体、バレエ、クラスメイト、家族、様々な悩みがララに一度に降りかかるのです。

 美しいララの横顔、優雅に踊るバレリーナたち、どこを切り取っても澄んだ空気が流れる映像の中で、本作にはずっと“痛み”が貼り付いています。

 隠す目的で性器をテープで覆って炎症を起こした肌、厳しいレッスンで血まみれになった足、ホルモン療法をしても膨らまない胸。ララの周りの景色は美しいのに、ララ本人にだけずっと“痛み”がまとわりつくのです。学校の女の子たち以外は、ララに最上級の思いやりと優しさを持って接してくれるのですが、そんな温かささえも火傷になってしまいそうなほど、彼女の心は徐々に限界を迎えていきます。

 実はこの作品、監督のルーカス・ドンやララを演じたヴィクトール・ポルスターがトランスジェンダーではないことなどで、批評家たちから批判の的に。しかし、ララのモデルとなったトランスジェンダーのダンサー、ノラ・モンセクールは、「ララの物語はわたしの物語」「(監督が)トランスジェンダーとしての私よりも、1人の人間として気にかけてくれるのが嬉しかった」とコメントしました。

 まさにその通りで、本作はトランスジェンダー映画というよりも、性や夢に悩む1人の少女にフォーカスを当てた映画と言えます。ここに蔓延する“痛み”は、性的指向や性自認関係なしに、誰かの“痛み”でもあります。痛みでがんじがらめになりながらも、「女の子」と「バレリーナ」への強い意志は捨てないララ。そんな強い女性である彼女に、惹かれない理由はないでしょう。

【『Girl/ガール』概要】


公開日:7月5日(金)
監督・脚本:ルーカス・ドン
出演:ビクトール・ポルスター、アリエ・ワルトアルテ
配給:クロックワークス、STAR CHANNEL MOVIES
(C)Menuet 2018

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