R15指定のUSJ「ホテル・アルバート2」を体験 “完全没入型ホラー”人気の理由を探る
■“口外禁止”が生む効果
「ホテル・アルバート・フォト・オポチュニティ」 クランクイン!トレンド
映画『IT』などのリメイク作品や『死霊館』シリーズなどを除くと、近年のオリジナルのホラー映画は、恐怖の正体を隠す傾向にあります。昨年公開された『クワイエット・プレイス』『へレディタリー/継承』『イットカムズ・アット・ナイト』『来る』も、“正体不明”の恐怖が主人公たちを襲いました。
人間には、怖いものを見たくないという拒絶の反応がある裏で、自分の目で確かめて“不安”を取り除きたいという欲求も備わっています。技術が発達し、幽霊に現実味が薄れてきた現代において、恐怖の種を公にしない手法は、非常に賢い選択だと言えます。
それと同様に、謎だらけのストーリーで、さらに年齢制限があるという限られた条件があるにも関わらず、本アトラクションが人気なのは、そんな“不安の根源を確認したい”という欲求を心地よく刺激するというのも理由の1つでしょう。
『バイオハザード』や『貞子』『チャイルド・プレイ』などキャラクターやホラーアイコンを全面に押し出したアトラクションがある裏で、わからないという、ある種の“不安”を煽る「ホテル・アルバート2」。「ユニバーサル・ハロウィーン」が贈る恐怖のバリエーシ多さには、思わず脱帽してしまいます。
「ホテル・アルバート2」カクテル (レディ・キラー、トワイライト、ロワイヤル・ピンク、ナイトメア)」 クランクイン!トレンド
さらに同じ回に行った人でも、1人1人違う体験をするというのも、面白い点です。アトラクション終了後、ゲストはラウンジに通され、カクテルを飲みながら、自分たちが見たものを意見交換します。SNSやスマートフォンが当たり前になった現代で、記録は脳、情報交換は対面というアナログな作業が、“特別感”をより一層深めていくのです。
体験を通して感じたことは、「ホテル・アルバート2」の人気は、様々な要素が重なり合った結果だということ。日常を逸脱したラグジュアリーな空間に、ファンの熱い想い、そして全貌が見えない謎に対する不安など、本アトラクションの魅力は、二重にも三重にも折り重なって生み出されています。
一度行ったら最後。何度も何度も足を運び、考察を深めたくなってしまう“アルバート沼”。「コスプレをして騒ぐ」というハロウィーンの常識を超越し、知的な娯楽を生み出したユニバーサル・スタジオ・ジャパンの功績は、今後さらに輝きを増すことでしょう。
【「ホテル・アルバート2~レクイエム~」概要】
日程:9月7日(土)~11月4日(月)