『かのきれ』支えた“Sexy Zone主題歌”のすごさ スタッフの愛を感じる演出にも注目
■スタッフの愛を感じる演出も
また、各放送回ごとに楽曲の入るタイミングや止めどころが異なっており、『かのきれ』スタッフの愛情とこだわりを感じた。
例えば、第3話で同曲が流れたのは、雨の中でパニックになってしまっている宗介に愛が上着をかけるシーンでのこと。この時、イントロから始まり<泣き出した空を/見上げたまま/潤む瞳をごまかす君>でストップ。宗介が愛の頬に手を差し伸べ、ぼんやりとした表情で「愛…」と呼びかけた数秒後に<ハイドレンジア/こぼれる/涙は/僕が拭おう>のサビ部分から曲が再び流れた。
ここまで“僕”は宗介の視点であると解釈してきたが、このシーンは「泣き出した空」と「涙」がリンクしている上に、愛が宗介に「大丈夫」と語りかけた姿から“僕”は愛で“君”は宗介だと、感じさせるような印象を受けた。
また、第7話では、愛と宗介がお互いのもとへと走っていく姿と、これまでの二人の歴史を振り返る回想シーンが交互に映し出される中で、イントロから1番のBメロまでと、2番のサビから大サビまでが使用された。
仲むつまじかった小学生時代の様子を回想するシーンでは<出会えた日から僕の物語は始まった>との歌詞が流れ、歌詞の一言一言と、二人の今日までの歴史がリンクしているようだった。
特に宗介が涙を浮かばせながら安堵の表情で「やっと見つけた」と電話越しにつぶやくシーンは印象的だった。ここで「誓おう」という歌詞が流れたことで、初恋、すれ違い、不安や葛藤を経て「自分はずっと1人の女性、佐藤愛が好きなんだ」と確信する宗介の気持ちを強く感じたからだ。
この夏、多くの人の心を掴んだ『かのきれ』と、本作の良さをさらに引き立てた「夏のハイドレンジア」。今夜放送の最終回では、いったいどんな使われ方をするのか期待したい。