『マスク』直前、仕事がなかったキャメロン・ディアス、危うくドラッグの運び屋に!?
大ヒット痛快コメディ『マスク』(1994)でヒロインのティナを演じ、鮮烈デビューを果たした当時21歳のキャメロン・ディアス。それまではモデルとして活躍し、数ヵ月日本に滞在していたことでも知られる彼女だが、実は『マスク』直前は、1年間仕事にありつけず、アヤシイ仕事に手を出すほどだったそうで…。
【写真】『マスク』当時21歳、美貌で世界を虜にしたキャメロン・ディアス
内気で優しい冴えない銀行員のスタンリーが、ひょんなことから手に入れた謎のマスクを被ると…テンション爆上げのド派手な正義の味方に大変身! 視覚効果とジム・キャリーの奇妙な動きが織りなす笑いが堪らない、90年代を代表するコメディ映画『マスク』。
本作でセクシー&ミステリアスなクラブシンガー、ティナを演じ、ジム・キャリー扮する主人公スタンリー・ザ・マスクとギャングの恋人のみならず、世界中を虜にしたキャメロン・ディアス。
米カリフォルニアで生まれ、高校在学中の16歳で大手モデル事務所のエリート・モデル・マネジメントと契約。カルバン・クラインやリーバイス等有名ブランドの広告に出演し、米版セブンティーン誌の表紙も飾った。一見モデルとして順風満帆、成功を収めていたように思えるが…そうでもなかったエピソードを告白している。
『マスク』にキャスティングされる直前、キャメロンはファッションの中心地パリに拠点を移したが、パリに滞在していた1年間で、モデルの仕事は0。唯一来たのがモロッコでモデルをする誘いで、しかしそこで、「仕事で着る衣装」が入っているという鍵のかかったスーツケースを渡され、モロッコまで運ぶよう言われたのだという。アヤシイ香りがすることこの上ない。
キャメロンはこの仕事を受けたものの、いざモロッコの空港に着くと、荷物を開けていいかと聞かれ、「このスーツケースの中には何が入っているの? ブロンドに青い瞳の若い女の子が一人でモロッコ。ダメージジーンズとプラットフォームブーツを履いて、髪をなびかせて…こんなの絶対に危ない!」とパニックに。そこで、自分のものではないとシラを切り通し、荷物を渡してフランスに帰ったそうだ。幸い、空港のセキュリティが強化される前の出来事だったと言い、もし捕まっていたら、10年の服役刑だったそう。今年7月に出演したポッドキャストで、「神に誓って言うけど、ドラッグをモロッコまで持っていく運び屋だったと思う」「これがパリでもらった唯一の仕事よ」と振り返っている。
『マスク』のチャック・ラッセル監督は、当初ティナ役に、『裸の銃(ガン)を持つ男PART33 1/3/最後の侮辱』(1994)などに出演するブロンド美女、アンナ・ニコル・スミスを熱望していた。しかし直前にアンナの同作出演が決まってしまったため、泣く泣く諦め、モデル事務所まで手を広げて探すことに。そこで目に留まったのが、キャメロンだった。
監督はかわいいだけの子を探すつもりはなかったと振り返るが、何しろキャメロンは、運び屋まがいのアヤシイ仕事を引き受けたバイタリティの持ち主。その魅力は写真にも表れており、すぐに彼女に決めたそう。実際キャメロンは撮影初日から楽しく、ガッツと温かみがあって、みんなひと目で彼女に夢中に。銀行のシーンで共演したジョエリー・フィッシャーは、トレーラーから出てきたキャメロンを見て、将来スターになると直観したそうだ。
キャメロンのこの魅力は、演じたティナのキャラクターにも影響を与え、当初脚本にあった良い子に見えて本当は悪女という役柄から、悪女に見えるのに本当はいい子という役柄に変更。こうして歌って踊れて、セクシーでミステリアスでキュートという最強女子のティナが誕生した。(文:寺井多恵)