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【レビュー】『聖剣伝説 VISIONS of MANA』は「これを待ってた」と唸る王道アクションRPGだった

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『聖剣伝説 VISIONS of MANA』キービジュアル
『聖剣伝説 VISIONS of MANA』キービジュアル(C)SQUARE ENIX

 スクウェア・エニックスが誇る人気作「聖剣伝説」シリーズの最新作『聖剣伝説 VISIONS of MANA』(PS5/PS4/Xbox Series X|S/Windows/Steam)が8月29日に発売となる。約17年ぶりとなるシリーズ完全新作ということで、期待しているユーザーも多いと思う。今回はPS5の製品版を発売に先駆けて遊ぶ機会を同社よりいただいたので、プレイした所感を語っていく。

 本作は"聖剣"と"マナ"を巡って描かれる、愛をテーマとした完全新作のアクションRPG。火の村ティアナに住む主人公・ヴァルは、魂の守り人として、御子に選ばれた幼馴染のヒナを守りながら、仲間とともにマナの樹を目指す冒険へ出発する。より詳細な物語やキャラクター設定については、本作の公式サイトをあわせてチェックしてほしい。

【動画】『聖剣伝説 VISIONS of MANA』トレーラー

■幻想的な世界を見事に再現した美麗映像

 「聖剣伝説」シリーズが持つ幻想的な雰囲気を再現するグラフィックは、『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』(2020年)でかなり完成された印象を受けたが、個人的には本作でさらに映像的進化をとげたと思う。どのフィールドもロケーションに富んでいて、広大な世界とそこに点在する自然や町、どれもが温かみのある映像で綺麗に描かれている。

背景もキャラモデリングも高品質。キャラクターデザイン・HACCAN先生が描く人物の魅力がかなり高く再現されている。フォトモードがあれば嬉しかった。
 本作の大きな特徴のひとつである「セミオープンフィールド」の探索も冒険への没入感を高めてくれる。「セミ」の名の通り、近年のオープンワールドを採用したゲームと比較すると少しこぢんまりとはしているが、それでも十分に広い。この絶妙な広さが探索における「ダルさ」を感じさせにくい作りになっているように思えた。フィールドでのダッシュはスタミナがないためどこまでも走れるし、自動で走ってくれるオートラン機能も実装されている。かなり高所から落ちてもダメージはなくファストトラベルも爆速と、移動に関してストレスを感じることがほぼなかった。ちなみに、すでに配信されている体験版を遊んだ一部のユーザー(筆者を含む)から散見されていた「フィールドをダッシュで移動しているとなぜか急に歩きになる」という不自然な挙動だが、今回製品版を遊んでいるときは一度も起きなかった。

精霊の力を借りて空高く飛んだり、ロケットで飛行したり、探索もギミックに富んでいて楽しい。
■きびきびと動かせる爽快感抜群のバトル

 すでに各種プラットフォームで体験版が配信されている本作だが、体験版を触ってみて感じた“アクションの小気味よさ”は製品版でもそのままだった。バトルは戦闘エリア内を自由に移動しながら、□ボタンの通常攻撃や△ボタンの特殊攻撃、MPを消費して出す特技を使って戦うオーソドックスなスタイルで、ボタンを連打するだけでカッコいい攻撃が気持ちよくつながる。そこにディレイ(タイミングをずらしてのボタン入力)や特技を加えて自分なりのコンボを開拓できるとバトルがより楽しくなる。

 もちろん「聖剣伝説」シリーズおなじみの「クラスチェンジ」も健在。ストーリーを進行していくとさまざまな属性の“精霊器”が手に入り、装備することで各キャラクターのクラス(他タイトルでいうところの「ジョブ」)が変化する。付け替えは何度でも行えるし、見た目だけでなく武器と攻撃モーション、アビリティも変わるため同じキャラでも新キャラのような新鮮さで動かせる。

クラスチェンジするとR2ボタンで精霊器を使った攻撃が可能に。敵の動きを遅くしたり、水流で敵を吹き飛ばしたりしてバトルを有利にしてくれる。一度使ってもクールタイムが終わればまた使用可能だ。

クラスチェンジを解放すると使える「エレメントボード」では、EPを使ってクラス固有の特技やアビリティを習得できる。
 本作のバトルだが、難易度「ノーマル」では強烈に記憶に残るほど苦戦した敵はあまりおらず、全体的に遊びやすく設計されている印象を受けた。ボスは大ダメージの攻撃をするとき攻撃範囲が事前に赤く表示されるし、仲間のCPUが賢いため攻撃もサポートもしっかり行ってくれて頼もしい。アクションゲームになれている人は物足りないと感じるかもしれないが、探索やストーリーを主に楽しみたい筆者のようなプレイヤーにとっては、このくらいの難易度のほうがありがたい。

操作キャラは方向キーの上下で切り替え可能。戦況と自身のプレイスタイルに合わせてキャラをスイッチしながら戦うのも楽しい。
■御子の犠牲の上に成り立つ世界の謎

魂の守り人に選ばれるヴァルと、火の御子に選ばれたヒナ。
 本作の舞台となる世界は、御子が「マナの樹」に魂を捧げなければ、マナの循環が途絶えて滅んでしまう。幼馴染で家族のように仲の良いヴァルとヒナだが、ヴァルはヒナが御子に選ばれたことを喜び、ヒナも御子に選ばれたことを光栄だと受け入れる。それはヒナ以外の御子も同じ。世界を守るための重要な使命とはいえ、なぜそうも簡単に大切な人が犠牲になる運命を受け入れられるのか。ゲームを開始してしばらくは、“死”を美徳とするような描写になんとも言えない違和感を感じた。しかし、物語の中盤で起こる“ある事件”を機にヴァルは「ヒナとずっと一緒にいたい」という本心に気付き、お役目だからと真剣に考えもしなかった世界のことを知ろうと決意する。大切な人たちと生きる未来のために冒険する少年の物語は、ベタだからこそ燃えて夢中で遊んでしまった。

■総評


 約17年ぶりのシリーズ完全新作は、待っていたファンを「これこれ!」と唸らせ、本作からシリーズに触れる新規ユーザーも満足させる仕上がりになっていると思う。魅力的なストーリーとキャラクターにバトルの面白さ、これらを引き立てる映像美とコンポーザーの菊田裕樹氏(代表作に『聖剣伝説2』『聖剣伝説3』など)らが作り上げた壮大な音楽は、紛うことなき新時代の「聖剣伝説」。購入を迷っている人がいたらまずは体験版でもいいので遊んでみて、気に入ったらぜひ製品版を購入してほしい。

 『聖剣伝説 VISIONS of MANA』は、PS5/PS4/Xbox Series X|S/Windows/Steam向けに2024年8月29日発売予定。

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