アナ・デ・アルマス『バレリーナ』まで続く! ハリウッド「強いヒロイン」の系譜【14選】
【2000年代】コミカルからシリアスまで さまざまな「戦うヒロイン」が登場
写真提供:AFLO
2000年年代の洋画では「戦うヒロイン」が続々と生み出される。まず紹介したいのは、2000年に公開され、キャメロン・ディアス、ルーシー・リュー、ドリュー・バリモア演じる3人の有能エージェントが事件を解決する『チャーリーズ・エンジェル』だ。CM監督出身のマックG監督による、リアリティよりもノリとテンポ、ハイテンションに振り切った作品で、スタイル抜群の3人の美女が、ときにコミカルに変装して敵を出し抜き、ときにかれいなアクションで完膚なきまでに叩きのめす。明るく楽しい作品に仕上がっている。
『チャーリーズ・エンジェル』と打って変わって、血みどろの復讐譚を描いたのが、2004、05年公開のクエンティン・タランティーノ監督によるスプラッター・アクション『キル・ビル』2部作。ユマ・サーマン演じる元殺し屋ザ・ブライドが、婚約者と我が子を奪ったかつてのボス(ビル)への復讐を臨み、日本刀で、重火器で、敵を殺りくし、激しいアクションを披露する。ルーシー・リューや、日本からも栗山千明ら「強い女性」たちが多数参戦するのも魅力だ。
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そのほかにも2001年には、人気アクションアドベンチャーゲームの実写化『トゥームレイダー』で、ララ・クロフトをアンジェリーナ・ジョリーが演じ、激しいアクションをこなして当たり役に育て上げたほか、同じく同名のアクションホラーゲームの実写化『バイオハザード』(2002)では主人公アリス・アバーナシーをミラ・ジョボビッチが演じきり、7作を数える人気シリーズに成長した。
【2010年代~】アメコミヒーローを中心に「強いヒロイン」が百花繚乱!
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さらに2010年代からは「強いヒロイン」が百花繚乱。大きな要因となるのが、2008年以降に続々と生み出されるマーベル・コミックを原作とした作品群、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)だ。MCUからは多数の女性ヒーローが誕生するが、筆頭はスカーレット・ヨハンソン演じるナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウだろう。ド派手なVFXを駆使して描かれる光線や怪力、魔法が飛び交うヒーローたちの中で、キックやパンチ、関節技を駆使して地道に(?)相手を制圧していくウィドウのかっこよさが際立った。
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その後、しばらくは男性ヒーローが続いたMCUだが、エリザベス・オルセン演じるスカーレット・ウィッチ/ワンダ・マキシモフや、MCUヒーロー最強クラスでは? とうわさされるブリー・ラーソン演じるキャロル・ダンバース/キャプテン・マーベルが登場する。一方、ブラック・ウィドウは『アベンジャーズ/エンドゲーム』で命を落としてしまい、世界中のファンが嘆き悲しんだが、時系列を遡って描かれた『ブラック・ウィドウ』(2021)に再び登場し、実妹エレーナ・ベロワ(フローレンス・ピュー、2代目ブラック・ウィドウ)が共闘を果たした。なお、エレーナは今年公開の主演作『サンダーボルツ*』で、多くのスターヒーローが亡きあと、新たなアベンジャーズを背負って立つ存在であることがほのめかされた。
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マーベルの終生のライバル、DCコミックスも負けていない。パティ・ジェンキンスが監督し、ガル・ガドットが主演した『ワンダーウーマン』(2017)は女性監督によるヒロイン・アクション映画として歴代1位のヒットを記録。そのほか同じDC映画では、大ヒットした『ダークナイト』の続編『ダークナイト ライジング』にて、アン・ハサウェイが新たにキャットウーマンとして登場。盗賊的な側面が強い役柄だったが、劇中ではシャープなアクションを披露し、バットマンを救出する場面もあった。
【番外編】「強いヒロイン」の活躍の裏にスタントウーマンあり!
(C) STUNTWOMEN THE DOCUMENTARY LLC 2020
最後に、本稿の主旨とは少し外れるが、『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』という1作のドキュメンタリー映画を紹介したい。同作は、ハリウッド映画を支えてきた「スタントウーマン」にスポットを当てている。彼女たちは女優に代わって危険な撮影に挑んだだけでなく、まだ業界が男性中心だった時代から自分たちの地位や権利を守るべく闘い続けてきた。
「強いヒロイン」の活躍の背景には必ずといっていいほど、危険なシーンを代わって引き受ける「スタントウーマン」たちの存在がある。「強いヒロイン」の活躍に魅了されるとき、縁の下の力持ちである「スタントウーマン」の命がけの努力に思いを馳せてみるのもいいかもしれない。