令和に復活! 36年ぶりの新作『ナイトストライカーGEAR』はエムツーの技術の粋を集めた爽快シューティングだった

タイトーの名作3Dアクションシューティングゲーム『ナイトストライカー』(1989年/アーケード)の流れをくむ、完全新作『ナイトストライカーGEAR』(Nintendo Switch/PC(Steam))が10月23日に発売。本作は今年の8月7日に発売された『オペレーション・ナイトストライカーズ』(Nintendo Switch/PC(Steam))のNintendo Switch特装版の特典として配信されたタイトルであり、この度ついに単体販売が開始された(特典版と単体販売版のゲーム内容は同一)。令和に誕生した新たな「ナイトストライカー」はどんなゲームになっているのか? 本稿では先述の特典版をプレイしての感想を語っていく。
【写真】ドット絵とは思えないほど美麗な『ナイトストライカーGEAR』スクリーンショット
本作の開発を担当したのは、アーケードゲームの移植を数多く手掛ける職人集団「エムツー」だ。『ナイトストライカー』は、1989年に照明演出用の回転灯を有する大型筐体でゲームセンター向けにリリース。夜の近未来世界を高速戦闘ホバー「インターグレイ」で駆け抜ける疾走感と、高木正彦氏によるカッコいいBGMが好評を博し、今なお名作として語り継がれている。
■ネオン輝く夜の世界を駆ける高速スクロールに病みつき
『ナイトストライカーGEAR』は、そんな名作の遺伝子を受け継ぐ3Dアクションシューティングゲームだ。物語の舞台は、A.D.2059年に中東で建設された最新テーマパーク「ロータス・レイヤー」。突如として同施設を管理するAIコンピュータ「ロータス・コア」が暴走し、オープニングイベントに訪れた参加者たちを監禁してしまう。プレイヤーは国連特務機関特別行動隊“ナイト・ストライカー”の一員となり、特殊装甲車「インターグレイ」を駆って事件究明のため動きだす。
ゲーム中は、自動で画面奥に向かって飛行する「インターグレイ」を上下左右に操作し、敵機をショットで撃破していく。ステージの最奥にはボスが待ち構えており、これを撃破(あるいは逃走・自爆)するとステージクリアだ。全4ステージのクリアでエンディングというコンパクトな作りになっているが、ボス撃破後には次に挑戦するステージを選択する分岐点が登場し、プレイヤーの自由なルートで攻略が可能。ある条件を満たすと登場する隠しステージも存在し、エンディングも異なるので繰り返し遊べる。
デフォルトでのクレジット(コンティニュー回数)は2。プレイ時間1時間ごとに回数が1増えていき、最終的には「FREE PLAY」になる (C) TAITO CORPORATION (C)2025 M2 Co., Ltd.
本作には「EASY」「STANDARD」「HARD」と3種類の難易度が用意されているが、慣れない内は「EASY」でも中々高難度に感じると思う。画面が高速でスクロールするスピーディーな展開の中で的確にこちらを狙い撃ちしてくる敵の攻撃を避けるのが難しく“疑似3Dシューティング”というジャンルに馴染みがない若いゲーマーはおそらく戸惑うだろう。攻略のコツとしては、敵の弾は画面を大きく使って少し大げさなくらい動いて避けること。また、特に誘導がきついミサイル攻撃は画面の大外を回るように動くことで被弾しにくくなる。
難しいゲームではあるのだが、何度もやられては自分なりのパターンを構築していくのが楽しいし、1プレイの時間も約20分~30分と短いため、トライアル&エラーのストレスも少なく何度も遊びたくなる魅力があった。
また、『ナイトストライカー』にはなかった新要素として「インターグレイ」の車両形態とGEAR形態を切り替える「ギアシステム」が登場。GEAR形態になった「インターグレイ」は、ショットが自動で敵を追尾するホーミングショットになり威力も上昇。変形に必要なGEARゲージは敵を倒すことで上昇していくので、ガンガン敵を倒して道中でもボス戦でも積極的に使用するとよい。
撃破することで「インターグレイ」のHPに当たる「SHIELD」を回復してくれるシールドディーラー(画面中央付近の黄色いアヒルみたいな存在)はかなり動き回るので、ホーミングショットで確実に撃破するのもあり (C) TAITO CORPORATION (C)2025 M2 Co., Ltd.
■世界中のプレイヤーとスコアを競うオンラインランキングにも対応
シューティングゲームといえば迫りくる敵をガンガン倒していくのが魅力だとは思うが『ナイトストライカー』には、ショットを一切撃たずにノーダメージでクリアした際に高得点が入る「パシフィスト・ボーナス」というものがあり、当時のスコアラーたちは不殺プレイを突き詰めていた。本作ではこのプレイスタイルが「PACIFIST MODE(パシフィストモード)」として収録されており、ショットが撃てないかわりにノーダメージクリアでの高得点ボーナスが獲得できる。
もちろん、ショットが撃てる「NORMAL MODE(ノーマルモード)」でも、ステージ中の敵を全て倒したり、一定以上の撃破率を達成することでもらえる高得点ボーナスがあり、好みに応じたプレイスタイルでハイスコアを極めていくことができる。オンラインランキングにも対応しているため、世界中のプレイヤーとスコアを競ってみよう。
■細部まで書き込まれたドット絵とBGMが芸術の域
画面写真を見てもらえば一目瞭然だと思うが、本作のサイバー感あふれる未来的な世界は、全て緻密なドット絵で描かれている。それらが膨大な数のスプライトによってアニメーションされ、『ナイトストライカー』にも負けない爽快感を生み出した。さらに、元ZUNTATAの作曲家・瓜田幸治氏の手掛けるスタイリッシュな音楽も必聴。同氏が得意とするシネマティックサウンドで表現されたBGMは、本作のダークな世界観と完璧にマッチしており、スピード感あふれるプレイ体験と相まってテンションをブチ上げてくれる。
瓜田氏はBGMのみならず、SEも手掛けている。ショット音や破壊音も気持ちいいので是非耳を傾けてほしい (C) TAITO CORPORATION (C)2025 M2 Co., Ltd.
個人的には、懐かしくも新しい体験を与えてくれる本作を、疑似3Dシューティングに触れたことがない若いゲーマーにこそおススメしたい。限られたクレジットの中で失敗を繰り返して上手くなっていくアーケードライクな手触りと、現代の技術だからこそできた究極のスプライト描写は、フルCGの3Dシューティングゲームでは味わえない魅力が詰まっているからだ。
『ナイトストライカーGEAR』は、Nintendo Switch/PC(Steam)向けに10月23日発売予定。
※高木正彦の「高」は「はしごだか」が正式表記
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