2025年北米を席巻した日本アニメ映画――『鬼滅の刃』と『チェンソーマン』にみる戦略の違い
年が明けて間もないが、2025年は兎にも角にも、映画興収におけるアニメーション映画の存在感に圧倒される1年だった。1月5日に興行通信社から発表された2025年度映画興収ベスト10、首位はもちろん『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』。公開172日間で389億円を達成。国内歴代1位を記録した前作『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(407.5億円)越えを果たすかにも注目が集まるなど、まさに異次元レベルのヒットである。しかし、末恐ろしいのはこの『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』の異例なヒットが決して国内に限定された話ではないことである。
【写真】2025年度映画興収ベスト10
■国内でも存在感を見せつけたアニメ勢、その力は海外でも……
『鬼滅の刃』に続く国内興収第2位は、『国宝』。本作も本作で188.6億を記録、実写邦画の歴代興行収入記録を22年ぶりに更新し、邦画として実写歴代1位の座に輝いた作品である。それに続く3位は『名探偵コナン 隻眼の残像』(146.8億円)、4位は『劇場版 チェンソーマン レゼ篇』(101.5億円)、5位は『はたらく細胞』(63.5億円)となっている。
続く6位から10位は『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』、『劇場版TOKYO MER:南海ミッション』、『モアナと伝説の海2』、『8番出口』、『ジュラシック・ワールド/復活の大地』という顔ぶれ。
つまり、ランキングのうち4本がアニメーション作品(日本アニメ3本、海外アニメ1本)で占められている上に、実写作品においても『はたらく細胞』が漫画原作、『8番出口』がゲーム作品であることを考えると「アニメ・漫画・ゲーム」に関する作品のパワーが今本当に強いことが実感できる。むしろ『国宝』が異例だったと言うべきか。
そんなふうに、現在の国内興収はまさにアニメ映画が市場を牽引し、実写大作映画がそれを追う、という構図になっていることが分かる。もちろん、これは“アニメ大国日本”ならではの結果とも言えるだろう。しかし、2025年の北米興収における日本アニメーション作品の存在感も、“半端ない”のだ。
■北米での日本アニメーション映画のヒット
2025年、北米で公開されたアニメーション映画は新作からリバイバル上映までさまざまだった。まずは主要作品の興収をおさらいしよう。2025年10月3日から10日 までGKIDS配給で4Kリマスター版が限定上映された今 敏監督の『パーフェクトブルー』は約173万ドルを記録。1週間だけの興行かつ旧作ながら100万ドルを超えるヒットとなった。同じように2月に公開された『劇場版 進撃の巨人 完結編』も限定的な公開規模ながら、熱心なファン層を動員し、約289万ドルの興収を達成。
やはり北米は「週刊少年ジャンプ」IP作品が人気で、12月5日から公開されている『劇場版 呪術廻戦「渋谷事変 特別編集版」×「死滅回游 先行上映」』の行方も気になるところではないだろうか。本作はオープニング週末興収が約1008万ドル、初登場3〜4位という力強いスタートを切ったものの、公開約10日間での北米累計興収は約1450万ドル。公開初週にはファンが殺到したが、2週目は前週比約-80%と大きく数字を落としている。映画作品としての特殊性(「渋谷事変」がダイジェスト、1月まで待てば配信で観られるアニメ「死滅回游」が2話までまとめられた内容)も、この結果に起因しているかもしれない。
しかし、やはり「週刊少年ジャンプ」は強い。注目すべきは日本でも興収を賑わせた『鬼滅の刃』と『チェンソーマン』の興収であり、結論から言うと、この2作品が圧倒的なヒットを記録。特に『鬼滅の刃』は文字通り、歴史的な記録を打ち立てた。

