2025年北米を席巻した日本アニメ映画――『鬼滅の刃』と『チェンソーマン』にみる戦略の違い
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』は北米で9月12日に上映が開始。そしてオープニング週末興収では日本アニメ映画の歴史を塗り替え、7000万ドルを超える大ヒット。さらに記録を更新し続け、なんと1月8日時点での北米興収は約1億3448万ドルを記録している。本作は昨年10月時点で『グリーン・デスティニー』(2000年)を抜き、25年ぶりに北米で公開された「非英語言語の映画」として歴代1位の記録を樹立した。そして全世界的にも、11月16日までに観客動員数8917万を突破、総興行収入1063億円を記録し、日本映画史上初となる全世界興行収入1000億円突破を達成した(アニプレックス調べ)。現時点では2025年公開の映画の中で6位を記録(※Box Office mojo調べ )。笑ってしまうくらいの大ヒットぶりである。
北米に話を戻すと、北米年間ランキングにおける順位としては18位(1月8日時点)。これはハリウッドの超大作ブロックバスターに並ぶポジションであり、ランキング周辺には『ファイナル・デッドブラッド』や『ライオン・キング:ムファサ』が位置する。2025年の大ヒットホラー映画とディズニー作品と日本映画が肩を並べている、この結果は異例中の異例と言えるだろう。
では、『劇場版 チェンソーマン レゼ篇』はどうなのか。10月24日に北米公開された本作も、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』に次ぐ大ヒットとなり、興収は約4343万ドルを記録。本作も北米年間ランキングにおいては49位ということで、一見『鬼滅の刃』に見劣る結果のように感じるかもしれないが、全くそんなことはないだろう。周辺には『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』や『ノスフェラトゥ』といったアカデミー賞系作品から、ホラー映画『THE MONKEY/ザ・モンキー』やラミ・マレック主演の『アマチュア』といった中規模ヒット作の上位に位置している。
なにより特筆すべきは、『鬼滅の刃』も『チェンソーマン』もR指定だということ。 “ R指定”の“外国語アニメ作品”が宣伝規模もハリウッド大作に比べて限られている中で、年間50位に入っている。それだけで大ヒットと言うには十分すぎる結果ではないだろうか。
しかし、この2作のヒットにおける差異を語る上で面白いのは、その売り出し方だ。

