CM業界で大人気の吉田羊

女優・吉田羊の快進撃は止まらない──。2015年上半期だけでも連続ドラマ3本、劇場公開映画2本に出演。CMにいたっては、エスビー食品の「ゴールデンカレー/プレミアムゴールデンカレー」、大塚製薬の「ポカリスエット」、花王「ハミングファイン」など6社の商品に起用されるという人気ぶり。以前から実力派女優として製作陣や関係者からの評価が高かった吉田だが、なぜいま多くの企業が彼女をイメージキャラクターとして起用するのか……その理由に迫る。
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舞台女優としてのキャリアがそうさせているのか、映画やドラマはもちろん、トーク番組やバラエティ、イベント等で発する吉田の言葉の説得力とキレの良さは目を見張る。5月に公開された映画『脳内ポイズンベリー』の初日舞台挨拶でも、主演の真木よう子をはじめ、西島秀俊、神木隆之介などそうそうたるメンバーが登壇する中、限られた時間の中で、西島や神木を翻弄するトークを展開し、客席を笑いに包み込んでいた。
そんな吉田に注目したのが、現在「ゴールデンカレー/プレミアムゴールデンカレー」のCMで彼女を起用しているエスビー食品だ。「どのような役柄でも演じきる実力を持っている女優さんであり、非常に知的、男女ともに好感が高い点。そしてよく通る透明感のある声」とデザイン広告ユニットの新田慈さんは吉田の魅力を語る。さらにCMに起用した理由については「食品のCMなので、清潔感が大前提ですが、カレーの魅力を語る説得力と信頼感」を挙げている。
背筋がピンとして凛とした印象の吉田。そんな彼女の口から表現される言葉の“信頼感”こそが、企業が商品をアピールするうえで、最も大切にしたいイメージなのだろう。「彼女がおいしいと言っているから信用するに値する」と人々が思う説得力が吉田にあるから、企業側は商品を彼女に託せる。
この吉田のパブリックイメージを裏付けるデータが先日発表された。日本アンガーマネジメント協会が行った「怒られたい有名人」のアンケートだ。全国20~59歳までの男女を対象に調査を行った結果、吉田は9位にランクイン。人は“信頼感”や“説得力”のない人に決して“怒られたい”とは思わないだろう。ベスト10に選ばれたのは、マツコ・デラックス、北野武、松岡修造、天海祐希、和田アキ子、タモリ、黒柳徹子と、一般的には吉田より圧倒的に知名度のあるメンバーだけに、吉田がいかに“信頼感”や“説得力”というイメージを持たれているのかが分かる。
一方で、映画『ビリギャル』では、そんなパブリックイメージを覆すような、全身で娘を包み込む愛情あふれる母親を演じ“柔らかい”一面も見せた。“信頼感”と“説得力”さらに“包み込むような柔らかさ”まで備えてしまったら……メディアで彼女のことを見ない日はなくなってしまうのではないだろうか。(取材・文:磯部正和)