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小栗旬、田中圭、綾野剛、坂口健太郎、赤楚衛二……秋ドラマを盛り上げる俳優陣の共通点

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■トライストーンの役者たちが活躍する理由

 以上、主だった出演を並べてみるだけでも、いかにトライストーン所属の役者たちが、活躍しているかが分かる。

 そのトライストーン・エンタテイメントの設立は1993年で芸能事務所としては比較的新しいほうである。しかし、代表取締役を務めているのは、映画『太陽を盗んだ男』(1979年)の製作や、『あずみ』シリーズや『クローズZERO』シリーズ、『ルパンIII世』、『新宿スワン』シリーズ等のプロデューサーとしても知られる山本又一朗氏だ。

 先に挙げた俳優陣以外にも間宮祥太朗、木村文乃、アーティストのmiwaも所属している同社は多くの作品に出資していたり、自社制作を手掛けたりしていることから、所属俳優や女優を出演させやすい場を多数持っているため、映画での活躍を通じて役者たちの認知度を高めることができる点は強みだろう。

 また、養成所「トライストーン・アクティングラボ」を運営し、人材発掘や育成にも力を入れているが、例えば、赤楚は山本氏から誘われたことが役者の道に入ったきっかけだったことを、日経スタイル「エンタメウオッチング」インタビュー(2021年5月4日)で次のように語っている。

 「サマンサタバサのモデルオーディションを受けたことがきっかけで、社長が『ウチに来い!』って。僕は『クローズZERO』(07年、09年)世代で、小栗さんも大好きでしたし、田中さん、綾野さんもカッコいいなと思っていました。あとは社長の器の大きさみたいなところで、ついていこうと決めた覚えがあります」

■山本イズム、小栗イズムがエンタメ業界に与える影響

 そうした人材発掘・育成を積極的に手掛ける器の大きさをそのまま受け継いでいるのが、小栗旬だ。小栗の場合、父親が舞台監督、兄が元俳優で演出家という環境もあるが、山本氏と同じように役者を見抜く目も確か。

 何故なら、2003年の『仮面ライダー555』(テレビ朝日系)の怪人役で俳優デビューした綾野は、『クローズZERO II』(2009年)で共演した小栗に誘われ、トライストーンに入所したことをトーク番組で明かしているからだ。綾野は所属事務所の移籍を機に、着々と役者としてステップアップを遂げたわけだ。

 ちなみに、小栗は、初監督映画『シュアリー・サムデイ』(2010年)の完成披露イベントで「将来、日本の俳優のユニオン(労働組合)を作りたい。もっと俳優が自由に意見できて、責任を持てる環境を作りたい」と発言し、注目を浴びた。俳優労組結成に関しては難しいという状況を『クイック・ジャパン』(2014年8月号)で語っていたが、その後、『女性自身』(2020年2月4日号)では、小栗がトライストーンの事務所社長に就任すると報じられ、現社長の山本氏も同誌の電話取材に対して「確かにそんな構想や予定があるのは間違いありません」と回答したとしている。

 役者としての活動のみならず、監督をしたり、才能を発掘・育成したり、自らが当事者として役者の生きやすいエンタメ業界を作ろうという意識が着々と育っているトライストーン。今秋ドラマを支えるのは、そんな“山本イズム”や“小栗イズム”かもしれない。(文:田幸和歌子)
 
<田幸和歌子>
1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムをさまざまな媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。

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