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浦沢直樹『PLUTO』アニメ化 “5歳の浦沢少年”の評価が「一番きついんです(笑)」

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■ “5歳の浦沢少年”の評価が一番きつい



――現代の世界情勢に対して予言めいた作品になっていますが、浦沢さんのなかで、どんな解釈を?

浦沢:僕が5歳のとき、「地上最大のロボット」を読んだんです。そのとき「なんだこの作品は!」と衝撃を受けました。思い起こせばそこからが、理解できなかったものを解明していく旅だったんです。2003年にいよいよ取り掛かったのですが、描いてみたけれど、まだ解けなかった。それがいまになってまた少しずつ解け始めているのは不思議なものです。

――その5歳の頃の浦沢少年が、常に作品に語りかけてくるとインタビューでお答えになっていました。

浦沢:それが一番きついんです(笑)。手塚ファンの浦沢少年が「下手なものを描いたらただじゃおかないぞ!」という感じで僕に詰め寄ってくる。外野のどんな声よりも厳しい。一切手を抜かずに描ききれたのはあの子のおかげですよ(笑)。

――今回の作品に浦沢少年はどんな感想を述べると思いますか?

浦沢:あの子はなかなかほめないですよ。ああだこうだ言うんじゃないですかね(笑)。まああの子にほめられるようになったら、それは漫画家をやめるときじゃないでしょうか。

――改めて浦沢さんが感じる手塚治虫さんという漫画家のすごいところは?

浦沢:誤解を受ける言葉かもしれませんが、手塚先生って、エンターテインメント業界からすると、結構マイナーな人だったんじゃないでしょうか。本来、手塚先生が扱うテーマは、マスに訴えかけるようなものではなく、たとえば小劇場で扱うようなものだったような気がします。それを大きな劇場で多くの人に伝えるためにはどうしたらいいんだろうと考えた。そのことに頭一つ抜けた才能をお持ちだったので、ここまで広がったんではないかと思うんです。ものすごく深いテーマじゃないですか。

日本初の国産アニメーションである『鉄腕アトム』を、2023年にこういう形で世界に配信できるというのは、手塚先生の意思を受け継ぐという意味ですごく意義のあることだと思います。

(取材・文・撮影:磯部正和)

 Netflixシリーズ『PLUTO』は10月26日より独占配信。

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