松下洸平、思い出深い『放課後カルテ』続編は「変わらないよさと変わっていく楽しみの両方が詰まった作品」
――松下さんにとって、これだけの子役のみなさんとの共演は初めてだったかと思います。現場での児童役のみなさんの姿はどう映りましたか?
松下:すごく現場を楽しく感じながら過ごしてくれたみたいでした。オールアップの日には、「人ってこんなに泣いて大丈夫なのかな?」って思うくらい、みんな涙が止まらなくて。本番前から泣いている児童もいましたし、カットがかかってもずっと泣いている児童もいました。よくドラマやマンガで「うぇ~ん!」って泣くじゃないですか。あれ、本当に言うんだなと思って(笑)。彼らにとってきっとこの3ヵ月はもう1つの実在する世界だったんだなと感じました。
僕ですか? 僕も感極まりました。間一髪のところで堪えましたけど、今までの中で一番感動しましたし、一生忘れないオールアップでしたね。
――思い出に残っているシーンはどこでしょう。
松下:最終話で牧野先生は卒業式には出ずに人知れず去って行くんですけど、最後保健室に寄ったときに、児童たちからの寄せ書きが置いてあるのを見つけるんですね。児童のみんなもずっと牧野先生と呼んでくれてましたし、僕自身も牧野先生として生きている時間が濃密だったので、その寄せ書きはまぎれもなく牧野先生へのメッセージであり、僕自身に宛てたメッセージとしても捉えることができたので、グッときました。
牧野先生はああいう性格なので泣かないと思うんですけど、中の人がもうたまんなくてですね(笑)。なんとか堪えて、でも途中ポロっといきそうになっちゃったので、一回上を見て(涙を)中に仕舞ってから演じたことを覚えています。
――牧野先生として児童役キャストと接する中で気を配われた点はありますか?
松下:クランクインする前は、牧野先生と児童たちの役柄の関係性でいえば、オフの時間もとっつきにくい怖い人でいたほうがいいのかなと思ったこともあるんです。でも撮影が始まってみると、僕が思っている以上に児童たちがとても純粋で。そんな彼らと3ヵ月いる中で、ずっと牧野先生でいることは不可能でした。
むしろ僕と一緒にお芝居することを楽しく感じながら現場に来てくれたほうが彼らはきっとノビノビできるんだろうなとも思いましたし、率先して一緒に遊んで、いろんな話を聞きました。学校でどんなことが流行っているのかとか、このクラスの中で女子に一番人気の男子は誰?とか聞いて、同じ目線で一緒にいることを心がけました。
――そんな彼らと久しぶりに再会します。
松下:僕達がびっくりするくらい大きくなっていると思うんですよね。衣装合わせをしたら、児童たちみんな前に着ていた衣装が1サイズアップしていて、10センチくらい身長が伸びた子もいるそうなんです。こっちが面食らわないように気をつけなきゃと思っています。
『放課後カルテ』以降、みんなたくさんの現場を踏んでステップアップしていると思うので、変に現場慣れとかしていないといいなぁ(笑)。僕ら制作陣も含めて親目線になっちゃってる部分もあるんですよね。『放課後カルテ』以外の作品に出ている彼らの姿をテレビで観ていて、「すごくいい芝居してんじゃん!」って思うと悔しかったり、複雑な気持ちになってしまうこともちょっとあって。そう思えるってことは、それだけ濃密な撮影の期間を過ごせていたんだなと思うし、彼らのことが大好きだからこそ、彼らの成長を少しさみしく思ったりうれしく思ったりするんじゃないかなと思っています。