クランクイン!

なぜディズニープラスが吉本とタッグ? “刺激の強さ”ではなく“芸人の発想力”で勝負する『THE ONE SHOT』の挑戦

エンタメ

(左から)吉本興業取締役・神夏磯秀氏、ウォルト・ディズニー・ジャパン エグゼクティブ・ディレクター、ローカル・コンテンツ担当・成田岳氏
(左から)吉本興業取締役・神夏磯秀氏、ウォルト・ディズニー・ジャパン エグゼクティブ・ディレクター、ローカル・コンテンツ担当・成田岳氏 クランクイン! 写真:阿部桜子

 日本発のオリジナルコンテンツの強化を進めるディズニー公式動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」が、新たなジャンル開拓に乗り出した。2020年の日本上陸以来、『ガンニバル』をはじめとするドラマシリーズや、『King & Princeがまちあわせ in LA』などのトラベル番組、『ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション』といったアニメ作品と、ラインナップを拡充してきた同サービス。そんな中、次なる挑戦として選んだのが、お笑いバラエティ番組『THE ONE SHOT』(ザ・ワンショット)だ。

【写真】カオスすぎた『THE ONE SHOT』(ザ・ワンショット)ワールドプレミアの様子

 ウォルト・ディズニー・ジャパンと吉本興業がタッグを組んだ同番組は、お笑いコンビの千鳥・大悟がエグゼクティブプロデューサーを務め、“たった一発のボケ”を込めたショートフィルムで競う異色のお笑いプロデュースバトル。従来の賞レースのように笑いの総量や手数ではなく、一撃の発想と表現力を競う新しいフォーマットとなっている。

 なぜ「ディズニープラス」は今、バラエティ番組に挑戦したのか。日本を代表するお笑いカルチャーをグローバル配信サービスで展開する狙いとは何か。今回の番組の開発を担った吉本興業取締役の神夏磯秀氏と、ウォルト・ディズニー・ジャパンで日本発オリジナル作品を統括するエグゼクティブ・ディレクター、ローカル・コンテンツ担当の成田岳氏に話を聞いた。

■大悟のアイデアが実現に至るまで

 本番組の企画が初めて公になったのは、2025年11月に香港で開催された「ディズニープラス・オリジナル・プレビュー 2025」だった。この場で発表されたのは、千鳥・大悟が企画・プロデュースを手掛ける初のグローバル向けオリジナルコンテンツ「DAIGO Project(仮)」というプロジェクト名のみ。大悟本人も当時のコメント動画で「極秘プロジェクトなので今は何も言えません。これまでにない新フォーマットの番組ということだけお伝えしておきましょう」と語るに留まり、その全容は長らく伏せられていた。

 もっとも、この企画は突発的に立ち上がったものではない。今回の番組開発を手掛けた神夏磯氏によれば、その原型は大悟の頭の中で温められていたという。「2年ほど前から“大悟のアイデアをもとにして、世界で通用する企画やフォーマットを生み出したい”という話を大悟と一緒にしていて、さまざまなアイデアを検討していました。その後、アイデアの意見交換をし始めてから半年ほど経った頃に成田さんから『オリジナルのバラエティ番組を企画したい』という相談をいただきました。双方の構想が重なり、プロジェクトとして具体化する絶好のタイミングでした」と当時を振り返る。

 その頃の「ディズニープラス」は、ドラマ『ガンニバル』シーズン1が大きな反響を呼んだほか、実写とアニメを融合した『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』や、映像化不可能とも言われた人気コミックを実写化した『七夕の国』など、日本発オリジナルコンテンツの拡充を進めていた。一方、その中心はあくまでドラマであり、バラエティ領域への本格参入は実現していなかった。なぜ、今回このタイミングでバラエティに踏み切ったのか。

 成田氏によると、ドラマを中心に日本発オリジナル作品を育ててきた「ディズニープラス」にとって、バラエティ進出は次の成長戦略を占う重要な一手でもあり、サービス開始当初から視野に入っていたという。

「バラエティ番組は無視できない存在だった」と語る成田岳氏
 「ローンチ以来、おかげさまで『ディズニープラス』は好調で、多くのお客さまに利用していただいています。その中で、次の成長フェーズを見据えた時、日本においてバラエティ番組というジャンルは無視できない存在だと考えていました。ただ、サービス立ち上げ直後の段階でオリジナルバラエティに取り組むのは、リソース面を含めてハードルが高かった。サービスの基盤が整い、第2のロケットを打ち上げる段階になったことで、本格的に検討が進みました」。

 こうした「ディズニープラス」の成長戦略と、大悟による新しい番組企画開発の構想が交差し、『THE ONE SHOT』は少しずつ輪郭を帯びていった。

 以前、大悟に本番組についてインタビューを行ったところ、「ワシは何もしてない(笑)」という言葉を繰り返した。<おもしろいやつを集めて見てみたい>。そんな考えが現実になっただけだと謙遜したが、神夏磯氏はそんな大悟の言葉を笑いながら真っ向から否定。

千鳥・大悟のアイデアを世界へ向けて実現させることが重要だったと話す神夏磯秀氏
 「そもそも『THE ONE SHOT』は全て大悟が考えていて、企画を立ち上げるゼロの段階から、番組の演出・プロデュースまで担っています。その上で、僕や総合演出の名城ラリータさんが、大悟の頭の中にあるアイデアの整理役となり、ラリータさんが映像クリエイターとして、スタジオの画作りも含めて、番組として仕上げてくれました。大悟が考えた企画をどうやって世界に向けて実現させるかが最大のポイントだったんです」と番組誕生の裏側における大悟の存在感の大きさを強調する。

 続けて「大悟もそうですが、僕の中でも、“いま世の中にないコンテンツを生み出したい”という想いが非常に強くありましたので、今流行りの数十秒単位のSNSの短尺動画ブームの真逆をいく、一発のボケのためにしっかりドラマ作品を見せる、という挑戦的な今回の企画に自ずとたどり着いたのかもしれません」と制作の裏側を明かす。

 ちなみに神夏磯氏はこれまで、地上波や配信PF各局の大型番組の新規開発や『PRODUCE 101 JAPAN』統括プロデューサー、映画『漁港の肉子ちゃん』のチーフプロデューサーなど番組やデジタルコンテンツ制作全般を担当してきたが、現在は6000人以上の所属タレントを抱えるマネジメント部門の責任者を務めており、日頃のタレントとのコミュニケーションの中から、新たな企画の種を見つけ出すこともあるという。

次ページ

■『過激だからおもしろい』とは全く思っていない――

1ページ(全2ページ中)

この記事の写真を見る

関連情報

あわせて読みたい


最新ニュース

クランクイン!トレンド 最新ニュース ›

おすすめチケット

powered by ローチケ

おすすめフォト

おすすめ動画 ›

最新&おすすめ 配信作品 ›

注目の人物 ›

  • [ADVERTISEMENT]

    Hulu | Disney+ セットプラン
  • [ADVERTISEMENT]

トップへ戻る