映画『セトウツミ』はレベルの高い池松壮亮&菅田将暉が揃ったから実現 監督が告白

関連 :
池松壮亮&菅田将暉という若手人気俳優が、河原の階段に座って、ただひたすら“無駄話”を繰り広げる映画『セトウツミ』。メガホンを取った大森立嗣監督は、「レベルの高い役者が揃ったからこそ実現できた作品。2人の生命感溢れる会話劇をじっくり楽しんでほしい」と自信をのぞかせる。超人気俳優ゆえ多忙を極める池松と菅田が、なんと全編出突っ張りで無駄話をするある意味“贅沢”な映画が完成した。
【関連】『セトウツミ』特集:池松壮亮×菅田将暉「喋る」だけの青春。
本作は、別冊少年チャンピオンにて連載中の同名人気漫画を実写化した脱力系青春映画。クールな塾通いのインテリメガネ・内海(池松)と元サッカー部のガサツなお調子者・瀬戸(菅田)、関西に住む2人の真逆な高校生コンビが、放課後、いつもの河原の階段に座って、たわいもない話に高じる姿をユーモラスに描写する。
これまで『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』や『まほろ駅前』シリーズなど、社会の枠組みからはみ出た若者の姿を独自の視点で描いてきた大森監督だが、今回もこの2人に同じ匂いを感じて映像化に踏み切ったのか、と思いきや、「いや、ぜんぜん。ほぼひとつのシチュエーションで繰り広げる会話劇を池松くんと菅田くんで撮ると単純に面白いだろうなぁと思ったから」と予想外にライトな答え。
熱い友情描写も一切なし。付かず離れずの微妙な距離感が、2人の会話の面白さを際立たせる。これに対して大森監督は、「お互いが認め合い対等な関係を築いているが、お互いが抱えている孤独みたいなものに距離感を縮めて寄り添うことはしない。同情もせず、わかりやすい優しさも示さない。僕自身がそういう付き合い方が嫌いだから、映画もそういう色が出るのかな」と分析する。
そんな2人の関係性を象徴するのが、全編を彩る“タンゴ”の旋律だ。「音楽って、映画の様相を変えちゃうくらい強いものなので、明るいけれど、少しだけ憂いみたいなものが出るといいなと思っていたら、なんとなくタンゴが浮かんだ」という大森監督。「ちっちゃい悩みを抱えながら、これから先、2人はどうやって外の世界で生きていくのか…そんなことを想像しながら観ていただけたら」。池松と菅田が繰り出す全力の無駄話、聞いてるだけで病みつきになる不思議な世界観に、しばし酔いしれてみよう。(取材・文:坂田正樹)
映画『セトウツミ』は7月2日より新宿ピカデリーほか全国公開。