『キングオブコント』王者・空気階段、人生もパチンコも「一瞬で全てが狂う」
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歴代最高得点を記録し、『キングオブコント2021』で優勝を果たしたお笑いコンビ・空気階段の鈴木もぐらと水川かたまり。コントにはかねてより定評があった2人が、映画に挑戦した。吉本興業の地域発信型映画で「競輪」と「自転車」が紡ぎ出す3つの不思議なオムニバス映画『たまの映像詩集 渚のバイセコー』(蔦哲一朗監督)だ。作品には空気階段のコントの世界観を彷彿(ほうふつ)とさせる強烈なキャラや場所が登場するうえ、舞台となったのはかたまりの出身地・岡山だ。そこでこの作品を機に、今年結成10年目を迎えた彼らのコントや彼ら自身の“原点”、さらに今後について聞いた。
【写真】空気階段、主戦場としている舞台で撮影したインタビューフォト
■ ホラー漫画、CM、映画、実体験…コント誕生のきっかけはさまざま
映画『たまの映像詩集 渚のバイセコー』より 園都(中)と共演する空気階段
(C)2021 たまの映像詩集「渚のバイセコー」
――映画『たまの映像詩集 渚のバイセコー』のご出演は、いかがでしたか。
鈴木もぐら(以下もぐら):こんなにガッツリ映画に出させてもらうのは初めての経験だったので、右も左も前も後ろも、上も下も分かんない状態でしたね。
水川かたまり(以下かたまり):僕は岡山出身なので、舞台となった玉野にはなじみがあって。小学生の頃に宇野港からフェリーに乗ってサッカーの遠征に行ったり、水族館に行ったりしていますし、海辺のシーンを撮影したのも、小学5年生の頃の「海の学校」という海事研修で行ってカッターボートを漕いだ場所なんですよ。岡山県民はみんな小学生のときに行っているんじゃないですかね。住んでいた時は何も感じなかったですが、改めて大人になって行ってみると、すごくきれいな場所だと思いました。
――本作はヤギを連れた変なおじさんが登場したり、公営ギャンブル場が舞台になっていたりと、お2人のコントの世界観に通じるものも感じました。ところで、お2人のコント作りは、実体験がベースになることも多いのでしょうか。
もぐら:作り方はバラバラですね。「このシーンやりたいな」だけで思いつくこともありますし、「この役やりたい」という気持ちが先行する時もありますし、ホラー漫画やCMからひらめくことも、実際に見た人、リアルにあったやり取りから生まれることもあります。ただ、一番インスピレーションみたいなものをもらいやすいのは、映画ですね。カッコいいシーンや印象に残るシーンが、映画には多いので。2時間1本の映画を観れば1個くらいは「これ良いな」と思うし、そこから別のネタが思い浮かぶこともあります。
かたまり:僕も日常で起きたことや、人との会話から思いついたこと、映画やドラマを観ながら「このシチュエーションで何かできないかな」とか、いろいろです。ただ、ひらめくときもあるけど、基本的に日頃から映画を観たり漫画を読んだりして感じたこと、日常生活の中で気になったことなど、スマホにメモを取っているんです。キーワードのような単語や箇条書きにしておいて、ネタを作らなきゃいけないときには喫茶店に行って、そこから設定などを考える感じですね。
■ ネタは日中に作るのがルール かたまり「夜中にやると何もかも嫌になる」
――ネタは基本的に日中に作ることをルールとされているそうですね。
かたまり:そうですね。夜中にやっていると何もかも嫌になるので、ネタも暗くなってしまう。夜は何もしたくないんです。
――設定を2人で出し合い、かたまりさんがまとめるのが現在のスタイルだそうですが、どうやってすり合わせていくのですか。
かたまり:2人が納得したらやるという感じですね。
もぐら:10本くらいネタが出たとして、そのうち1本2本は2人とも納得できるもの、被るものがあるので、それをやるという具合です。
――過去のインタビューで毎日10本くらいネタを書いていると読んだことがあります。
もぐら:そんなこと、言ってました(笑)? それはたぶん水川が言ったやつですね。
かたまり:たぶんそれは僕がついたうそだと思います(笑)。
もぐら:ゾフィーの上田(航平)さんが年に3万本ネタを作るみたいなことを言い始めてそこから1日何本作ってますみたいなことを言う流行りが一時あったんですよ。
かたまり:そうそう。その流行りの延長線上ですね。
もぐら:でも、そんな中、かが屋の加賀(翔)だけはリアルに月100本くらい作っていたんですよ。だから、あの時期のインタビューは、加賀以外の芸人のほとんどがうそついていますね(笑)。