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名立たるアーティストが賛美 アメリカで黙殺された傑作『WANDA/ワンダ』日本初劇場公開

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映画『WANDA/ワンダ』場面写真
映画『WANDA/ワンダ』場面写真(C)1970 FOUNDATION FOR FILMMAKERS

 巨匠マーティン・スコセッシをはじめ世界の名立たる映画人やアーティストたちから「忘れられた小さな傑作」と賛美された、1970年ヴェネツィア国際映画祭最優秀外国映画賞受賞作『WANDA/ワンダ』が、7月9日より日本で初めて劇場公開されることが決定。予告映像、日本版ポスター、場面写真が解禁された。

【動画】『WANDA/ワンダ』予告編

 本作は、アメリカの底辺社会に取り残され崖っぷちをさまよう女性の姿を切実に描き、1970年代アメリカ・インディペンデント映画の道筋を開いたとされる奇跡のロードムービー。

 ペンシルベニア州。ある炭鉱の妻が、夫に離別され、子供も職も失い、有り金もすられる。少ないチャンスをすべて使い果たしたワンダは、薄暗いバーで知り合った傲慢な男と、いつの間にか犯罪の共犯者として逃避行をつづける…。

 監督・脚本・主演のバーバラ・ローデンは、生まれ故郷ノースカロライナ州での虐待を受けた子供時代から逃れ、16歳でニューヨークに移住。ダンサーやピンナップモデルを経て女優になった彼女は、社会派の巨匠エリア・カザン監督作『草原の輝き』(1961)に出演。1964年、カザンの演出でアーサー・ミラーの戯曲「アフター・ザ・フォール」に出演しトニー賞の主演女優賞を受賞した。その後ローデンは、カザンと二度目となる結婚をする。

 そして30歳を過ぎた頃、長年女性らしさに縛られていたローデンは、自分のアイデンティティや目標を見出せない従順な女性像に疑問を持つ。『WANDA/ワンダ』の製作はそんな彼女の独立宣言とも言えるもので、「エリア・カザンの妻」と呼ばれることや、他人に書かれた役を演じることから、彼女自身が辛うじて逃れてきたことを実証している。その後バーバラは、1980年に乳がんで48歳の短い生涯を終えた。

 1970年ヴェネツィア国際映画祭最優秀外国映画賞を受賞し、1971年にカンヌ国際映画祭で上映された唯一のアメリカ映画であるにもかかわらず、当時アメリカ本国ではほぼ黙殺された本作。

 しかし後に、マルグリット・デュラス、マーティン・スコセッシ、イザベル・ユペール、ダルデンヌ兄弟、ジョン・レノン、オノ・ヨーコ、ジョン・ウォーターズ、ケリー・ライカート、ソフィア・コッポラなど、世界の名だたる映画作家やアーティストが口々に尊敬の念を込めて「失われた傑作」と称賛。“インディペンデント映画の父”と称されるジョン・カサヴェテスは「『WANDA/ワンダ』は私のお気に入りの作品だ。ローデンは正真正銘の映画作家だ」と高く評価した。2010年にはスコセッシ監督が運営するザ・フィルム・ファウンデーションとGUCCIの支援によってプリントが修復され、アメリカ国立フィルム登記簿に永久保存登録されている。

 生前「私は洗練された映画が大嫌いなの」と公言したローデン。彼女がワンダをリアルに演じる姿を収めた予告映像は、常に動いているカメラワーク、無名のロケーション、奇抜さや奇妙なキャラクターを求める姿勢など、その後の数多くのインディペンデント映画で用いられるスタイルが垣間見られるものとなっている。

 日本版ポスターは、悲しげな表情を浮かべるバーバラのアップを切り取ったもの。横には「哀しいほど滑稽な逃避行が始まる―」というコピーが添えられている。

 映画『WANDA/ワンダ』は、7月9日より全国順次公開。

映画『WANDA/ワンダ』予告編

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