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知る人ぞ知るイタリア残酷映画『殺しを呼ぶ卵』、50年以上経て【最長版】の公開決定

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映画『殺しを呼ぶ卵【最長版】』場面写真
映画『殺しを呼ぶ卵【最長版】』場面写真(C)Licensed by MOVIETIME SRL‐Rome‐Italy. All Rights Reserved.

 1968年に公開されたイタリア映画『殺しを呼ぶ卵』の【最長版】が、12月2日より全国順次公開されることが決定。併せて場面写真が解禁された。

【写真】『殺しを呼ぶ卵【最長版】』場面写真

 1968年に公開されたイタリア映画『殺しを呼ぶ卵』の【最長版】が、12月2日より全国順次公開されることが決定。併せて場面写真が解禁された。

 本作は、1968年に公開されて以降、50年以上に渡り知る人ぞ知る作品だった猟奇サスペンス。欲望渦巻く犯罪ドラマを倒錯嗜好と残酷趣味で毒々しく彩るだけでなく、資本主義社会の非情、企業の非人間性を暴き、同時期のパゾリーニ、アントニオーニ、エリオ・ペトリ監督作にも通じる社会派メッセージを鮮明に打ち出した。

 ローマ郊外の巨大養鶏場。社長のマルコは業界の名士として知られていたが、経営の実権と財産を握る妻アンナへの苛立ちを日々募らせていた。彼は同居するアンナの10代の姪ガブリを愛人にするだけでなく、妻に対する憎しみを女性へのサディズムで発散するのだった。マルコ、アンナ、ガブリ──3人それぞれの隠された欲望が暴かれる時、事態は思いもよらない展開を迎える。

 主人公マルコ役には、『男と女』(1966)『Z』(1969)『暗殺の森』(1970)などで知られ、去る2022年6月に死去した名優ジャン=ルイ・トランティニャン。妻アンナ役にはイタリア美人の代名詞として一世を風靡したジーナ・ロロブリジーダ。そしてガブリ役にはスウェーデン出身、キュートなルックスが魅力的な当時18歳のブロンド・ビューティ、エヴァ・オーリンが扮している。

 監督・脚本は、マカロニ・ウエスタン屈指の残酷描写で世界を騒然とさせた『情無用のジャンゴ』(1967)の鬼才ジュリオ・クエスティ。ここではイタリアン・ホラーの名手マリオ・バーヴァが先駆け、後にダリオ・アルジェントが確立する猟奇サスペンスに挑戦している。

 今回公開される105分の【最長版】は、初公開時に世界配給された90分前後の【国際版】にはない残酷場面、異常場面を含んでいる。あらためて観直せば、本作が猟奇サスペンスの王道でありながら、社会問題や実験的な映像表現、さらには現代にも通じるアイデンティティの喪失、世の不条理と人生の虚無にまで踏み込んだ野心作であることに気付かされるだろう。

 映画『殺しを呼ぶ卵【最長版】』は、12月2日より新宿シネマカリテほか全国順次公開。

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