ミステリーファンの好奇心をわしづかみ!ドラマの小説が全米でベストセラーに

アメリカの一般視聴者のオンライン投票により決定する“ピープルズ・チョイス・アワード”の常連作であり、シーズンを重ねても抜群の人気を誇るドラマシリーズ『キャッスル/ミステリー作家のNY事件簿』。物語の面白さがあって、絶大な支持を得ているのだが、実はもう1つ、巧妙な仕掛けが施されていたのだ。その仕掛けとは?
【関連】特集:『キャッスル/ミステリー作家のNY事件簿』シーズン4発売記念、女性がなぜハマるのかを大捜査!
人気推理小説家リック・キャッスルは、新作のアイデアに悩んでいた。そんなとき、自分の小説を模倣した連続殺人事件が発生。しかも、事件を担当しているのが優秀な美人刑事ベケットだと知り、がぜん興味を抱いたキャッスルは、あらゆるコネを駆使し、ニューヨーク市警の捜査を手伝うことに。最初は刑事たちから疎ましく思われていたキャッスルだったが、小説家ならではの視点と推理力で事件を解決に導いていく実力と、持ち前の人懐っこさで、刑事課チームに必要不可欠な存在となっていく。
そしてもちろん、事件から得た経験は、ベケットをモデルにしたキャッスルの新作小説『ニッキー・ヒート』シリーズで生かされていくのだが、この小説『ニッキー・ヒート』シリーズこそ、『キャッスル~』の上手さなのだ。というのも、この小説が、現実世界でリック・キャッスル著として発売されているから。しかも、1作目『Heat Wave』はニューヨークタイムズ紙のベストセラー本トップ10入りを果たし、2作目の『Naked Heat』は初登場7位、3作目の『Heat Rises』に至っては初登場1位を記録と、全米ベストセラーの常連シリーズとなっている。
この人気の背景には、劇中では詳しく紹介されないキャッスルが描いた小説を実際に読めるという、ドラマと小説のメディアミックスの面白さに加え、現実でこの小説を書いているのがリックを演じる俳優ネイサン・フィリオンのはずがなく、では、いったい誰が書いているのかと、リアル世界のリック・キャッスルについての真実を明かさないことで、憶測が憶測を呼び、全米ミステリーファンの好奇心をがっしりと捉えている点も大きい。このように、ドラマと小説のそれぞれが推理ネタを提供し、ドラマファンが小説へ、小説ファンがドラマへと、2つのファンが行きかうことにより、双方が盛り上がるという好循環を生み出しているのだ。
そして、日本でもリックの小説、ニッキー・ヒートシリーズの第1弾『長い酷暑』(定価760円+税)に続き、第2弾『裸のヒート』(定価880円+税/発行:ヴィレッジブックス)が絶賛発売中で、『キャッスル』シーズン4のコレクターズBOX Part1も6月18日にリリースされたばかり。全米大盛り上がりのメディアミックスを体験するなら、“今”が最適だ。