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『消えた画』のカンボジア人監督リティー・パン、アジアコスモポリタン賞文化賞受賞

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カンボジア人監督リティー・パン(写真左)、アジアコスモポリタン賞文化賞受賞
カンボジア人監督リティー・パン(写真左)、アジアコスモポリタン賞文化賞受賞 クランクイン!

 『消えた画 クメール・ルージュの真実』で知られるカンボジア出身の映画監督リティー・パンが、第2回平城遷都1300年記念アジアコスモポリタン賞の文化賞に選出され、昨年12月21日、奈良県新公会堂で開催された「アジアコスモポリタン賞受賞記念 奈良フォーラム2014」に出席。授賞式のスピーチで、「母国の再建と発展には、確固たる文化的な基盤とアイデンティティーが不可欠だ」と訴えた。

【関連】文化賞を受賞したリティー・パン監督&授賞式の様子

 東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)が創設したアジアコスモポリタン賞とは、2年に1度、東アジア域内における経済・文化面での地域統合、格差是正、持続可能な社会形成の成長を主眼に、東アジア共同体形成に役立つ優れた貢献を行った個人・団体に対し、国籍を問わず授与される国際賞。同フォーラムでは、「アジアの世紀」と題した二階俊博衆議院議員による基調講演、そして記念プログラムとして各受賞者(大賞、経済・社会科学賞、文化賞)の授賞式と対談などが行われた。
 
 文化賞に選出されたパン監督は、自身の体験を基にポル・ポト政権下のカンボジアを描いたドキュメンタリー映画『消えた画 クメール・ルージュの真実』で2013年カンヌ国際映画祭ある視点賞を受賞。アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされ、昨年の夏以降、日本各地で順次上映されている。今回、同作品で人間の尊厳を根底に置き、その存在理由を否定したクメール・ルージュの虐殺という悲劇を真っ向から捉えたことが高く評価された。

 さらに、その作品が持つ気高さと手法の斬新さ、背後にある含意は、絶望の中にも存在するアジアの英知というものにも光をあて、アセアンが共同体形成に向けて重要な時期を迎えた今、パン監督の業績は各国に原点に立ち戻り、困難に立ち向かう勇気を与え、それを鼓舞するものであると絶賛された。

 なお、翌日の22日には、同フォーラムの教育プログラムの一貫として、奈良女子大学にて特別講義を行ったパン監督。ポル・ポト政権下、強制労働収容所で家族を失いながらも生き延びた経験から、学生に向けて人間の尊厳について歴史から学ぶことの大切さを熱く語った。映画『消えた画 クメール・ルージュの真実』は全国順次公開中。

 他のアジアコスモポリタン賞の受賞者としては、大賞に2004年から2014年まではインド共和国首相を2期務めたマンモハン・シン、経済・社会科学賞にクロフォード公共政策大学院名誉教授のピーター・デーヴィッド・ドライズデール、シンガポール国立大学 上級教授のワン・グンウ、そしてパン監督と共に宝塚歌劇団が文化賞を受賞した。

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