長澤まさみ、「役に自分自身が映し出される」大林宣彦監督の言葉にしみじみ

関連 :
「第72回毎日映画コンクール」表彰式が15日、川崎市内で行われ、『散歩する侵略者』で女優主演賞を受賞した長澤まさみ、『あゝ、荒野』で男優主演賞を受賞した菅田将暉ら受賞者たちが出席した。長澤は歴史あるコンクールでの受賞に「光栄です」と笑顔を見せると「昔より自由に、演じることと向き合えるようになってきたような気がします」と自身の成長を顧みていた。
【写真】「第72回毎日映画コンクール」表彰式フォトギャラリー
長澤は受賞スピーチで「年々、自分のなかにあるものと似た役を受けることが多くなってきたのかなと感じていたのですが、先ほど16年前に『なごり雪』という映画でご一緒させていただいた大林宣彦監督とお会いして『演じるというものは、自分自身が映し出されるものなのですよ』という言葉をいただきました。そのとき、自分という人間を役に投影するようになってきたのかなと思いました」としみじみと話し、「でも、まだまだ自分自身はこのような賞をいただけるような器になれているとは思っていないので、日々精進していきたいです」と力強く語った。
男優主演賞を受賞した菅田は「まさかこんな大きな賞をいただけるなんて」と恐縮した表情をみせると「日本映画だけでも何百本も公開され、公開規模が大きな映画や、ベテランのすごい俳優さんが出演している映画がたくさんありました。そのなかで『あゝ、荒野』を選んでいただけたと思うと、身に余る光栄です」と語る。
さらに「メガホンをとった岸(善幸)監督とは前作(『二重生活』)で出会ったのですが、そのとき『この人だ』と思ったぐらい運命的なものを感じたんです。それで、雑誌などで『ロミオとジュリエットみたいな関係です』と言ったら、監督は気に入ってくれたみたいで、メールが来るたびに『ジュリエットより』と書いてあるんです。あれは最近気持ち悪いのでやめてほしいです」と発言し会場を盛り上げていた。
また、日本映画大賞に輝いた『花筐/HANAGATAMI』でメガホンをとった大林監督は車椅子で登壇すると「映画の現場で、車椅子に乗って仕事ができるのは、監督だけです。それは監督が思ったことを、スタッフやキャストの方が肉体を動かして伝えてくれるからです」と静かに語る。続けて「ハッピーエンドというものは、映画が発明した見事なフィロソフィーなのです」と先人たちを例にあげ、映画のすばらしさを伝えた。この日、本作に出演した常盤貴子や窪塚俊介も壇上に駆けつけ、大林監督を称えた。
表彰式には、長澤、菅田のほか、役所広司、田中麗奈、高杉真宙、伊東蒼、水野久美、ふくだみゆき監督、湯浅政明監督、中村義洋監督、代島治彦監督、石井裕也監督、富田克也監督、岸善幸監督らも出席した。