巨匠テレンス・マリック最新作『名もなき生涯』、人間の真実と尊厳に迫る予告公開
第72回カンヌ国際映画祭で、「人間の内面を豊かに描いた作品」に贈られるエキュメニカル審査員賞を受賞した巨匠テレンス・マリック監督最新作『A Hidden Life(原題)』が、邦題を『名もなき生涯』として2020年2月21日より公開されることが決定。併せて、人間の真実と尊厳に迫る物語の一端を収めた予告編が公開された。
【写真】名優「ブルーノ・ガンツ」フォトギャラリー
これまでにカンヌ国際映画祭でパルム・ドール(『ツリー・オブ・ライフ』)や監督賞(『天国の日々』)、ベルリン国際映画祭で金熊賞(『シン・レッド・ライン』)を受賞するなど数々の受賞歴を誇るマリック監督が、46年のキャリアの中で初めて実在の人物を描いた本作。第二次世界大戦下、ドイツの侵攻とともにナチスの支配下に入ったオーストリアを舞台に、度重なるナチスドイツの従軍指令とその軍門に降った教会の指示に従わず、ひたすらに自分の信念と妻や娘への愛に生き36歳で殉教した、1人の誠実な農夫、フランツ・ヤゲルシタッターの“知られざる生涯”を描く。
ヒトラーへの忠誠を拒絶し自らの信念に殉じた農夫フランツを演じるのは、映画『イングロリアス・バスターズ』のアウグスト・ディール。美しい村でフランツや娘たちと暮らす妻フランチスカには、映画『エゴン・シーレ 死と乙女』の女優ヴァレリー・パフナーが扮する。そして本作が遺作となった、ドイツの名優ブルーノ・ガンツが、判事役でスクリーンに厳粛で深い感動をもたらす。
予告編は、美しい自然の風景の中、フランツとフランチスカが出会い幸せな家庭を築く場面からスタート。しかし、国がナチスの支配下に入ってから雰囲気は一変。自身の信念を貫こうとするフランツに対し、「祖国への義務を果たしなさい。それが教会の教えです」「自分の民族や国を否定するのか。売国奴め!」などと告げる周囲の人々。それでも「ヒトラーに忠誠など誓えない」「信念に反することはできません」ときっぱり言い放つフランツ。フランツの過酷な運命を暗示する映像と、幸せな家族との映像が交錯し、最後は「あなたが何をしようと…私はいつでもあなたと一緒」と語るフランチスカの言葉で幕を閉じる。
予告編と併せて公開されたティザービジュアルは、「自らの信念と家族の愛だけでナチスに立ち向かった一人の男がいた」というキャッチコピーと共に、草原の中でフランツとフランチスカが仲むつまじく横たわる姿を写し出したもの。76歳を迎えた巨匠が今伝えなければと、知られざる“名もなき生涯”を力強く崇高に描き切ったヒューマンドラマに注目が集まる。
映画『名もなき生涯』は2020年2月21日より公開。