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強制収容所の過酷な日常を映し出す 『トゥルーノース』本編映像公開

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映画『トゥルーノース』場面写真
映画『トゥルーノース』場面写真(C)2020 sumimasen

 北朝鮮の強制収容所で生き抜く家族の姿を3Dアニメーションで描いた映画『トゥルーノース』より、本編映像が解禁された。強制収容所に連行された家族が、厳しい労働を強いられながらも励まし合いながら必死に乗り切ろうとする姿が映し出されている。

【動画】「元気出そう」強制収容所で支え合う家族 『トゥルーノース』本編映像

 本作は、ドキュメンタリー映画『happy -しあわせを探すあなたへ』(2012)のプロデューサーを務めた清水ハン栄治の初監督作品。在日コリアン4世であり、幼い頃から帰還事業で北朝鮮渡航後に消息を絶った人たちの話を聞いていた監督が収容体験をもつ脱北者や元看守などにインタビューし、10年の歳月をかけて作り上げた。強制収容所内の恐るべき実態を描きつつ、家族愛、仲間との絆、ユーモア、死にゆく者への慈しみの心情などを、実写ではなくあえて優しいタッチの寓話的なアニメーションで描写している。音楽監督はディズニー長編アニメ映画『ムーラン』(1998)のマシュー・ワイルダー。

 本編シーンには、強制収容所に連行された主人公ヨハンと母、妹ミヒが戸惑いながらクモの巣だらけで日の光も満足に入らない粗末な部屋で暮らし始める場面から始まる。持ってきたはずの食べ物はかばんから没収されていたが、母は「元気だそう。すぐにお父さんと会えるよ」と子どもたちの前で気丈にふるまう。そんな母を見て、「お母さん心配しないで。僕が母さんとミヒを守る。お父さんと約束したんだ」と強く答えるヨハン。

 しかし彼らを待ち受けていたのは過酷な労働の毎日。重たい桶を背負って農作業をしながらも、幼いミヒが働く姿を見つけると変顔をしてミヒを和ませる母。一方、狭い坑道の中、ヨハンはロープを体にくくり付け、必死に重たい荷車を引っ張っている。「しくじるなよ、新入り。お前がノルマ達しなかったら俺ら連帯責任だぞ」と発破をかけられ、「頑張ってるよ」と歯を食いしばりながら答えるヨハン。厳しい収容所生活の中でも諦めず、互いを気遣い必死に生きようとするヨハン親子の姿とともに、収容所の過酷さが克明に描かれている。

 清水監督は、脱北者や元看守などのインタビューにアニメーターを同行させ、その証言をスケッチして克明に描写できるように努めた。キャラクター造形については「デフォルメし過ぎず、かつリアルにし過ぎず」というバランスに苦心したといい、「歪曲し過ぎて“これは別世界で起こっている話”と思われてはアクティビズムにならない一方、収容所の現実をリアルに表現し過ぎるとホラー映画みたいになって観客が感情的についていけない。全般的に造形のポリゴンが少なく見える(カクカクした折り紙みたい)様な素材感にして、登場人物との擬似体験を少しバッファーを掛けるなどの工夫もした」と語っている。

 アニメ映画『トゥルーノース』は、6月4日より全国公開。

映画『トゥルーノース』本編映像

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