【第2回】山﨑果倫の“好きなもの” 映画『カラオケ行こ!』むずがゆい自意識の核心をつく作品
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クランクイン!の新企画として、今月から女優として活躍中の山﨑 果倫(やまざき かりん)さんのコラムがスタート! ここでは、彼女自身が“観たい”“書きたい”と思って選んだ映画やドラマのリアルな感想を中心に、24歳の彼女が今“感じたこと”をありのままお届けます。
■ 完璧主義や自分のルールに悩んだことはありますか?
こんにちは! 山﨑果倫です。前回のコラムは楽しんでいただけましたでしょうか? 私のコラムが、皆さんの好きな映画や思い出の映画を浮かべてくれるきっかけになったらいいなあと思いながら今回も映画のお話をしていきます!
どんな映画を観に行こうかなあと探している時に上映中の映画『カラオケ行こ!』の予告編を見つけて、ヤクザと中学生…とカラオケ?! 全然想像が付かない組み合わせのこの3つがどんな風に心を揺らしてくれるのだろう…気になって仕方がない、ということで、すぐに観に行ってきました!
ということで改めまして今回は、映画『カラオケ行こ!』の感想を綴っていきます。
いやあ本当に、観て良かったです…! とってもキュートでほっこりする作品で、冬の寒さに張り詰めた心がポカポカになりました。主人公の2人が中学生とヤクザという普段じゃ中々あり得ない組み合わせだからこそ、人と人が関わる上で、そしてひとりの個人が生きていく上で大切なことが研ぎ澄まされて見えてくる、、そんな作品でした。
(C)2024『カラオケ行こ!』製作委員会
【あらすじ、キャストなど】映画『カラオケ行こ!』作品情報はこちら >
皆さんは、完璧主義や自分のルールに悩んだことはありますか? もしくは欠点は恥だ。恥をかきたくない。という気持ちを強く感じたことはありますか? これはいわゆる“自意識”というものだと思うのですが、思春期には特にそういった気持ちが盛んになるような気がしています。この映画を見てそんな思春期の自意識をすごくリアルに思い出しました。そして狂児のセリフで私の一番好きな言葉は、そんなむずがゆい自意識の核心をついてくれます。
『綺麗なものしかあかんかったら、この街ごと全滅や』
狂児が聡実に伝えた言葉です。合唱部の部長で中学3年生の聡実くんは変声期によって、綺麗な高音を出せなくなってしまった。部長なのに、ソプラノなのに…もう歌えない。でもそのモヤモヤを発散させることはなく静かに一人で悩んでいたように見えました。そんな15歳の聡実くんが、狂児のこの言葉をすぐに受け取れるかは分からないけど、いつか必ず解る日がくる。「綺麗」「完璧」なんかよりも、もっと尊く大切なもの。これを手に取るようにわかる日が来たら、、自分もそれを持っているんだということをちゃんと認められる日が来たら、、本当に柔らかく笑えるんだろうなあ、狂児のように。
まさに思春期、15歳の聡実くんは大人っぽいところと、等身大でまだまだ子供らしいところと、本当に魅力的なバランスで描かれていて自分の思春期を思い返したりしてしまいました。季節の移り変わりよりも早いスピードで成長していく聡実くんに心を掴まれ、「狂児さん」って呼んでたのが最後には「狂児」と呼んだ時にはもう目が潤んでしまい、この映画を観てから数日間、私の心の中に狂児と聡実くんが存在し続けています。
■ “好きの深掘り”はお気に入りの作業
文:山﨑果倫
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