大槻裕一&野村裕基、「刀剣乱舞」と伝統芸能を見事融合 『能 狂言 刀剣乱舞』第一弾公演レポート到着!
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さて、時は平安時代。頼光の屋敷に薬を持ってきた女・胡蝶と密かに入れ替わった時間遡行軍が、頼光に襲い掛かろうとする。頼光の家臣である独武者の活躍で追い払うが、今度は僧に姿をやつした土蜘蛛が現れる。頼光への恨みを語り襲い掛かろうとする土蜘蛛だが、未来からやってきた膝丸と髭切が頼光を助けることに成功する。土蜘蛛の正体は、大和の朝廷に虐げられて鬼へと変ぼうしたこの国の民だった。頼光たちは逃げた土蜘蛛を追いかけて葛城山へと急ぐのであった。
身分の高さがうかがえる高貴さと、武士としての力強さを兼ね備えた頼光像や、主人に忠実でまっすぐな仕事人という印象の独武者のキャラクターが非常に分かりやすく描かれていて、物語の輪郭をよりくっきりと浮かび上がらせる。時間遡行軍は能狂言の型を利用したスピード感のある動きを見せ、迫力と臨場感がある。僧の姿に化けた土蜘蛛は、威厳と怪しさが同居した独特の存在感が立ちのぼる。頼光たちと戦うときに出す千筋の糸は視覚的にも華やかで楽しく、客席のボルテージも一段上がる瞬間となり、本作の大きな見どころのひとつだ。
シンプルでわかりやすい「土蜘蛛」を物語の骨格に据え、そこに刀剣乱舞の要素を肉付けすることで、作品全体にさらなる深みと面白みが加わっている。土蜘蛛を、最初から魍魎鬼神(人ならざる存在)だったわけではなく、大和朝廷に虐げられた人間が鬼へと変ぼうした存在とした本作ならではの解釈も興味深い。能狂言をはじめとした古典作品には魍魎鬼神が多く登場するが、それらも元をただせば、人間の恨みや悲しみといった負の力により生み出された存在なのかもしれない。昔も今も、大なり小なり争いは絶えることがなく、争いの原因の多くは人間同士のいさかいから始まっている。いつの時代も人間の一番の敵は人間なのだろう、とやるせない気持ちにもなる。
本編終了後、撮影可能タイムがあり、再び膝丸役の大槻裕一と、髭切役の野村裕基が見所に降りて客席を歩き回り、観客の撮影に笑顔で応じた。あくまで役になり切った状態で終始行うため、刀剣乱舞の世界の中に自分もいるような感覚で楽しむことができた。囃子方の演奏にのせた撮影タイムであったことも、楽しく賑やかな空気感を演出している。
あくまで能狂言の表現方法から大きく逸脱することなく、能狂言を見慣れている人にも、初めて見る人にも、それぞれに楽しめる温故知新の演目が誕生した。『能狂言 刀剣乱舞』は第二弾、第三弾と上演されることが予告されている。どのような刀剣男士が、どのような能狂言の世界の中で躍動するのか、期待がより膨らむ。好評を受けて、12月に東京、2027年2月に大阪での追加公演が決定している第一弾はもちろん、第二弾と第三弾の今後にも注目したい。
(取材・文:久田絢子 写真:瀬野匡史)
『能 狂言 刀剣乱舞』第一弾 妖蜘蛛編は、12月に東京、2027年2月に大阪にて追加公演予定。
【公演概要】
『能 狂言 刀剣乱舞』
7月28日・29日、8月24日~26日:東京・国立能楽堂
9月11日・12日:京都・金剛能楽堂
◆出演
大槻裕一
野村裕基
福王和幸
大槻文藏
◆監修
野村萬斎
◆作詞
大槻文藏 他
◆作調
亀井広忠
◆演出
わかぎゑふ
【公式サイト】https://touken-noh.com/
【公式X】@touken_nohkyo
【公式Instagram】@touken_noh_kyogen