梶裕貴、不思議と縁ある“猫の役” 20歳の猫又“ぶちお”役は「あまり感じたことのない難しさ」<となりの妖怪さん>

インタビュー
2024年4月13日 10:00
梶裕貴、不思議と縁ある“猫の役” 20歳の猫又“ぶちお”役は「あまり感じたことのない難しさ」<となりの妖怪さん>
梶裕貴  クランクイン! 写真:上野留加

 妖怪と人間と神様が“ふつう”に暮らす、緑豊かなある町の日常が描かれるコミックス『となりの妖怪さん』(イースト・プレス)。4月6日(土)から、ABCテレビ・テレビ朝日系列全国24局ネットでテレビアニメが放送スタートし、20歳にして猫から猫又に新生した妖怪の“ぶちお”を梶裕貴が演じる。これまでさまざまな猫や妖怪を演じてきた梶だが、ぶちおについては「今まであまり感じたことのない難しさがあった」という。今回クランクイン!トレンドは、本作の魅力と合わせて演技に込めた思いを聞いた。(取材・文=河内香奈子/写真=上野留加)


■20歳の猫又 演じて感じた苦労と楽しさ

――まずは本作を読んだときの第一印象を教えてください。

コミックスの表紙を拝見して、柔らかい雰囲気や色使いの印象から、「日本の現風景や子どもたちのハートフルな日常が舞台となっている作品なのかな?」と。実際に読んでみると、魅力はそれだけにとどまらず…想像していた以上にシリアスなドラマが繰り広げられていて、とても驚きました。そして、面白い。タイトルに「妖怪」とありますが、描かれているのは、総じて“人間ドラマ”かと。繊細で優しい作品にほれ込みましたね。

――本作はほのぼのとした人、妖怪、神様たちの日常を描くと同時に、人とは違う理(ことわり)で生きるものたちならではの“怖さ”や“存在感”も描かれていますよね。

そうなんです。ミステリー要素もあるので、次の展開がすごく気になりますし、キャラクター1人1人にスポットが当たるエピソードもたくさんあって。誰もが光と闇、じゃないですけど、ネガティブな部分、弱いところも抱えているわけで、それを包み隠さず、しっかりと向き合っていく姿が描かれているところに 「なるほど。これは愛される作品なわけだ」と感じましたし、アニメ化にも深く納得しました。


――梶さんはそんな本作で、20歳にして猫から猫又に新生した妖怪のぶちおを演じます。話によるとぶちおは、テープとスタジオの2回のオーディションを経て決まったそうですね。

ぶちおは、動物のような見た目のキャラクターですが、普通に人間と一緒に暮らしていて、普通に会話をする子です。猫としてはかなりの長生きでしたが、猫又としては、まだまだ生まれたばかりの新参者。しかも、猫又になった今でも猫の姿なのは変わらないので、いわゆる“ダミ声”のよう音色で演じるアプローチもあれば、人間と変わらない声を持ってきても、十分成立する存在だなと感じて。

お芝居の面としても、長生きしてきた猫ならではの達観している雰囲気があった方がいいのか、転生したばかりのピュアな人間らしさが強い方がいいのか、いろいろとバリエーションが考えられたので…特に指定があったわけではないのですが、自主的に、最初から2パターンの演技を収録してお送りしたんです。

ぶちお (C)noho・イースト・プレス/「となりの妖怪さん」製作委員会
――猫らしさを意識したり、逆に猫らしさを払拭してみたり。猫又の妖怪だけども人間と共生している存在だからこそ、演技のアプローチの方法はたくさんあったのですね。

二次審査であるスタジオオーディションのときに「(2本送った内の)どちらの方のイメージでしたか?」と相談したところ、「あまり猫らしさを意識しすぎず、人間として演じてほしい」という演出をいただいて。というのも、先生ご自身のご要望で「今後の展開も踏まえた上で、キャラクター性に違和感がないように」という意図があったようなんですよね。その後、先の展開を教えていただくと「ああ、なるほど! だからね!」となったわけですが。

とはいえ…ぶちおのかわいらしい見た目的に、どうしても、それに合うような声の高さや質で演じたくなってしまうところがありまして。いわゆる「声優の性(さが)」と言いますか…(笑)。

なので、もしかするとアフレコが進んでいくうちに、だんだんとかわいらしい方向にシフトしていった部分もあったかもしれないのですが(笑)、そのあたりは臨機応変にというか、バランスなのかな、と考えています。継続している物語に存在しているキャラクターである以上、成長や変化はつきものですからね。それに誰だって、話す相手によってテンションや声色が変わるのは当然のことですし。つまるところ、だからこそ、ただ“動物や妖怪のキャラクターを演じる”というのとは違う、今まであまり感じたことのなかった難しさと楽しさを感じられる役が、ぶちおでした。

次ページ:人も妖怪も同じ、共感できる悩みがある

1ページ(全2ページ中)

この記事の写真を見る

イチオシ!

梶裕貴

声優

アニメ

取材

インタビュー

あわせて読みたい

[ADVERTISEMENT]

公式アカウント

おすすめフォト

【行きたい】今読まれている記事

【欲しい】今読まれている記事

【イチオシ】今読まれている記事