鈴木達央「僕らの仕事は手軽ですよ」 意外な発言の裏に込められた“声優業”への誇り

インタビュー
2024年5月4日 09:00

■声優は作品を支えるべきパーツ

――鈴木さんにXのポストについてもお伺いしたくて。作品に関するポストが長文で読み応えがあるなと拝見していて思ったのですが、こだわりがあるのでしょうか。

僕ら声優は、こうしたインタビューでもないと、役についてかみ砕いた状態で話させていただく機会は少ないものですが、皆さんに見て感じていただいたものが全てですし、それでいいと思っています。でも、せっかくさまざまな楽しみ方ができるのであれば、自分がどう演じたのかを伝えたいなと。どんなプランを持ちながらやってきたのかを言語化するためにも書くようにしています。

――考えていることを言語化するのは難しいなと思うのですが、もともと書かれるのはお好きなんですか?

いや、嫌いです。

――えっ、てっきり…。

できれば書きたくないです(笑)。でも書くことで、自分のプロとしての矜持(きょうじ)にもきちんと向き合えるというか。どうしてそういう演技になったのか、なぜそんな表現をとったのかと問われた時に、「いや、なんかいいな、と思ったんで」と答えるのか、それとも「自分の中での感情理論、状況理論があって、その中で自分のメソッドもありつつ、こういう表現になりました」と答えるのかを明確にできます。

声のお芝居って形付けができなくて、全部感性のものなんですよね。だからこそ、聞いた人がどう感じるのかに対して、(テキストという)明確な目標があると、一部ではなく、もう少し広い方たちに理解をしてもらうこともできると思うので、文章を書くことは大切にしたいですね。


――きっと、ファンの皆さんも興味深く読まれていらっしゃるのかな、と。

どうでしょうかね(笑)。僕としては作品のディテールをより深く受け取っていただけたらうれしいなという気持ちだけです。作品に携わっている時は、「とにかく作品のためになればいい」ということしか考えていなくて、ほかのことがどうでもよくなるんです。僕自身についてはどうでもいいので、役のこと、作品に対しての思いや気持ちに意識を割いてくれたらいい、興味を持ってくれたらいいと思って書いているので、そこに僕の意志は一つもありません。声優は、アニメーターの方々と一緒で作品を支えるべきパーツだと考えているので、そういうところをしっかり表現できたらいいなと思っています。

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『グリム組曲』アフレコ小話 ※「鈴木達央」X

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ふくだりょうこ(ライター)

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