小林親弘、“価値観の違い”への認識に変化 『BEASTARS』レゴシとの出会いで「何で正反対なんだろうと考えるように」
■レゴシと出会って6年 自身の中での変化は?
――レゴシって精神力が強い気がしていて。肉食獣としての葛藤をはじめ、私が彼と同じ立場だったら、耐えられないことが多いだろうなと思います。
小林:レゴシは、自分が「こうだろう」と決めたことは主張し続ける頑固さがあるんですよね。ハルちゃんが好きとなったらずっと好きだし、ルイ先輩に何かを言われても「僕はこう思います」と返すし。流されているようで流されていない、不思議な芯の強さを持っていると感じています。
――現在配信されている『FINAL SEASON』で印象に残っているシーンを教えてください。
小林:魚さんがうどんを注文して食べるのが面白かったです(笑)。「食べて、食べられての世界」という考え方のサグワンさん、偉い立場にいるのに昔のことに執着するヤフヤさん、コモドオオトカゲだから店の奥にいなきゃいけないというゴーシャなど、価値観の違う大人たちが登場するのも印象的でした。あとは、レゴシの根底にはやっぱりハルちゃんがいるので、『FINAL SEASON』の中盤から登場する草食獣と肉食獣のハーフであるメロンの存在も大きいです。
――本作の重要キャラクターですよね。
小林:将来ハルちゃんと結婚して子どもが生まれたとしたらどうなるのかという実体が、ある意味メロンでもあって。だからこそ、レゴシのエゴでもあるかもしれませんが、メロンに関わって救いたいと彼は思っている気がします。
――小林さんは2019年にレゴシと出会い、ここまで共に歩んできました。その中で、小林さん自身が変わった、成長したと感じている部分はありますか?
小林:たくさんありますが、特に(変化したのは)自分とは違う価値観にも耳を傾けるようになったことですかね。例えば、映画を見ているときに、僕は「これは自分の好きじゃない感じだな」と思ったら途中で見るのをやめちゃうタイプだったんです。お芝居でも同じく、自分の好きじゃないものは「好きじゃないな」とあまり受け入れないタイプでした。でも、本作に関わってから、最後まで見てみようと思えるようになって。自分とは正反対な考え方や主張をしている人の意見でも、「何で正反対なんだろう」と考えるようになりました。
――最後に、改めて小林さんが感じている『BEASTARS』の魅力を教えてください。
小林:ここまでのインタビューを読んでいたら、小難しい作品だな、とっつきにくそうだなと思う方もいるかもしれません。実際に、ちょっと残酷なシーンもありますが、僕はある意味で絵本を読んでいるような感覚で見られる作品だと感じています。本作は、何百年も前から続いている人の普遍的な問題を扱っている作品なんじゃないかな。世界中の人、何なら100年後、1000年後にこの作品を見る人がいても確実に何かを受け取ってもらえる作品だと思いますので、ぜひ肩ひじを張らずに、試しに見て何かを感じていただけたらうれしいですね。
『BEASTARS FINAL SEASON』Part1は、Netflixにて独占配信中。Part2は、後日配信予定。