小林親弘、“価値観の違い”への認識に変化 『BEASTARS』レゴシとの出会いで「何で正反対なんだろうと考えるように」
アニメ『BEASTARS』の最終章にあたる『BEASTARS FINAL SEASON』のPart1が、2024年12月5日(木)よりNetflixで独占配信中だ。今回クランクイン!トレンドは、レゴシを演じる声優の小林親弘にインタビューを実施。小林は6年以上レゴシと共に歩んできたことで、自分とは正反対の意見にも最後まで耳を傾けるようになれたと、自身の変化を語ってくれた。(取材・文=M.TOKU/写真=上野留加)
【インタビュー動画】穏やかな声が落ち着く 小林親弘が語る『BEASTARS』レゴシの魅力
■コロナ禍真っただ中 収録環境に変化
――2019年に第1期、2021年に第2期が放送され、最終章にあたる『FINAL SEASON』のPart1がNetflixにて配信中です。
小林:実は『FINAL SEASON』の収録が始まったのが2021年のコロナ禍真っただ中だったんですよ。本作はプレスコという、先にお芝居をして、その芝居を元に後から絵を付けるというスタイルで収録する作品で、第1期や第2期では、共演者の方と向き合ったり、取っ組み合ったり、ときには床に寝ながら録っていました。ただ、コロナ禍ではパーテーションを置きながら分散収録していたこともあり、そのやり方は無理だろうとなりまして。
――そうだったんですね…。
小林:それでも、スタッフさんたちと相談して、いろいろと工夫をしながら収録をしました。それが、どのような形となるのか心配ではありましたが、できる限り第1期、第2期のような臨場感を出せたらいいなと思って収録に挑んでいましたね。
――実際にできあがった映像を見ていかがでしたか?
小林:「いいじゃないか!」と思いました。それは、ミキシングを担当してくださる方がマイクの位置を変えたり、臨場感が出るようにいろいろと工夫をしてくださったりしたからこそ。スタッフさんが努力をしてくださったから、変わらぬクオリティーでお届けできたと思っています。配信された映像を見て、改めて感謝の気持ちでいっぱいになりました。
――第1期、第2期で思い出に残っているエピソードを教えてください。
小林:たくさんありますが、個人的には第1期5話で、初めてハルちゃんと目が合うシーンが思い出深いですね。あのシーンでは、千本木彩花さんと実際にしゃがんで目を合わせて収録をしたんですよ。あの収録形式だったからこそポロっと台詞を出せたこともあり、印象に残っていますね。
――ハルとのシーンでは、17歳の思春期らしさを感じます。
小林:レゴシは恋に関しては全てが初めての体験だから、自分の気持ちに何が起きているのか、分かっていないんですよね。もどかしかったり、変に大人びてみたり。第1期7話で絵の具をぐちゃぐちゃにして顔に塗るシーンがありますが、きっとあそこで、「誰かに取られたくない」という、嫉妬の感情を自覚したんでしょうね。
――第2期で印象的だったシーンはいかがでしょうか?
小林:リズとの戦いです。あの戦いは物理的なだけでなく、草食獣と肉食獣という立場の違う者同士が、どう向き合うのが正解なのか、己の考えをぶつけ合うシーンでもありました。余談ですが、ヒグマのリズを演じるのが白熊(寛嗣)さんで、ベンガルトラのビルを虎島(貴明)くんが演じているのも、本作ならではで面白かったです(笑)。
――リズとの決闘を経ての『FINAL SEASON』では、レゴシの肉食獣としての葛藤が描かれています。
小林:『FINAL SEASON』はルイ先輩の足を食べたところからスタートしていることもあり、自分を責めて苦しんでいるというか、罰を自分で受けているというか…。そこから、大人の社会に出て、うどん屋で働いて自分でお金を稼いでみて、さらには自分とは違う価値観を持った人の話を聞いて、いろいろなことが解消されていくんです。『FINAL SEASON』を見ていて、レゴシは社会に出てよかったと個人的には思いました。
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