黒宮れい“消費される生き方”の危うさ語る 容姿で判断されたアイドル時代を経て気付いたこと
■アイドルへの抵抗から再起
――でもお話を聞いていると、お仕事で充実されていたように感じます。13歳の頃に「仕事って何だろう」と疑問を持ったと本の中で触れていましたよね。自分の“アイドル”という仕事が「若さを売りに消費されていく」ということだと気付き始めた経緯を教えてください。
気付いたのは、ミスiD2015に出た頃です。その時にアイドルグループを結成して、ジュニアアイドルとバンドを含め3つの活動を掛け持ちしていました。そのうちにどんどん、アイドルの仕事は容姿で判断されるということがわかって…。ジュニアアイドルの頃は、イベントしかやらないので周りの人からどういう見られ方をしているのかダイレクトに知る機会がありませんでした。アイドルをやってから、結局今までやってきたことも若さを売りにしてきたことで、中身じゃなくて容姿で判断されるのだと気付きました。
――では、辞める決断をしたのは、自分のやりたいことはこれじゃないなと思ったのが一番の理由だったのでしょうか?
それもありますし、アイドルに向いていなかったんですよね。ラジオや、色んな媒体に出演して、同じような質問をされることに、当時は「だるいな」って思っちゃって(笑)。わたしは自分の好きなことを貫き通したかっただけなのに、こういうことをしたいんじゃないと感じました。けど、仕事となると周りの大人の利益とかも考えなきゃいけないじゃないですか。それでだんだん疲れてきてしまって。アイドルの仕事をする上で、大人の人たちともあまり分かり合えなかったし、お互い歩み寄ることもできなかったので無理だなと判断しました。
――なるほど、ありがとうございます。今は納得できる形でBRATSの活動ができているということが本でも触れてありましたが、再び立ち上がれた原動力になったものがあれば知りたいです。
アイドルを辞めた後、バンドが再開するまでに、自分の経験したつらい思いや苦しみを日記に書いていました。そのときに、「れいが書いている日記に曲をつけてみよう」って言ってもらえたことがきっかけです。曲ができた時は、自分はこういう形でも世の中に発信していけるんだと初めて知って、これからも言葉で戦っていきたいなと思いました。あと、汚い感情や怒りも、自分の中でポイントなんですよ。わたしは怒りがないと何もできなくなっちゃう。溜め込んでいたものをバーっと書いたらやる気が満ち溢れてくるんです。
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