『石子と羽男』の中村倫也はあまりにも魅力的 なぜこんなにも引き込まれる?

特集・レポート
2022年9月9日 20:00

■最大の魅力は“つかみどころのなさ”?

 しかし中村は、“守ってあげたい”と思わせる隙を、うまく入れ込んでいく。この人は、もしかしたら、もろいのかもしれない…と思わせるような。さまざまな角度から、演じるキャラクターを理解しようとする中村だからこそ、役に深みを生み出すことができるのだろう。

 だから、彼が演じるキャラクターたちは、そう簡単にはつかむことができない。『石子と羽男』の羽男もそうだ。子どものように駄々をこねたかと思えば、急に大人びた表情を見せてみたり。何も分かっていないように見えて、実はすべてを悟っていたりする。その奥行きを感じた時に、私たちは彼の演技に引き込まれているのだ。

 これは余談だが、中村は小道具の取り入れ方もうまい。特に、筆者の印象に残っているのは“メガネ”。『恋あた』の丸メガネ姿は、社長業をしている時とのギャップを感じさせたし、『石子と羽男』で、“型破りな弁護士”に憧れてつけたメガネは、チャーミングすぎてクスッとなった。それなのに、『ホリデイラブ』(テレビ朝日系)で、モラハラ夫を演じた時につけていたメガネは、怖い雰囲気を助長させていたから不思議だ。

 たくさんの魅力がありすぎて、つかみきれない中村倫也。つかんでしまうと、どこかに飛んでいってしまいそうな“はかなさ”を持っているのに、ドシッと構える強さを感じることもある。そのつかみどころのなさこそが、彼の最大の魅力なのかもしれない。

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