スタジオツアー東京の特別企画「炎のゴブレット」はもう行った? 実はとても奥が深い“神イベント”でした
■“まるで本物”なロンのダミーが登場
さらに今回、本企画のために、実際の撮影に使用されたロン・ウィーズリーの水中ダミーが日本で初公開! こちらもハンガリー・ホーンテイルを手掛けたスコットが制作を担当した。
映画『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』場面写真 Harry Potter characters, names and related indicia are trademarks of and(C)Warner Bros. Entertainment Inc. Harry Potter Publishing Rights(C)J.K.R.(C)2025 Warner Bros. Entertainment Inc.All rights reserved.
三大魔法学校対抗試合の第二の課題は、「深い湖の底から大切な人を取り戻す」こと。出場選手は、魔法によって一時的に眠らされた大切な家族や友人が湖の中に閉じ込められており、制限時間内に救出するミッションが与えられた。第二の課題のシーンは200万リットルもの水が入る巨大なプールを使い、実際に水中で撮影。水中での撮影のため、俳優たちと全く同じに見えるダミーが使用されたのだ。
俳優たちの型をとり、石膏で精巧な複製を作成。この複製を基に、顔や頭、手はシリコン、胴体はグラスファイバーといった、それぞれの用途に適した素材を使用し、頭髪や眉毛を埋め込み、肌の色味を足すなどして、本物そっくりに仕上げられた。
ダミーを制作するにあたり「水底まで沈むのか?浮くのか?どう撮影するのか?」といったあらゆる可能性を考慮。体内にタンクを内蔵したダミーが作られた。タンクに空気を入れることで、水中でゆらゆらと漂う姿を表現し、口から泡を出して息をしているよう見せることが可能に。また、手足にわずかな関節をつけ、水の動きに合わせて自然に動くよう工夫が施された。
ロンのダミー人形
撮影終了から20年以上が経過しているにもかかわらず、ダミーにはほとんどダメージはなく、「驚くほどいい状態だった」とのこと。当時のロンの写真を参考に、肌のトーンや毛髪を整え、本物のロンに見えるよう細部まで手が加えられた。「ニック・ダッドマン率いるクリーチャー班が、いかにうまく作っていたか如実に物語っている」とスコットは振り返る。「今でも本物のロンに見えるようにしました」とスコットも太鼓判を押す、ロンのダミーはその目で確かめる価値大アリ!
■約3mの「トム・リドルの墓」は迫力満点
トム・リドルの墓のシーンは、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』の最も印象的なシーンのひとつ。三大魔法学校対抗試合の第三の課題で、ハリーとセドリックは優勝杯に触れたことでリトル・ハングルトンの墓地へ飛ばされることに。そこで待ち受けていたのは、ヴォルデモートの忠実な“しもべ”のワームテール(ピーター・ペティグリュー)。呪文によって動きを封じられたハリーは、トム・リドルの墓石に縛り付けられてしまう。そして、闇の帝王ヴォルデモート復活の儀式が始まり…。
映画『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』場面写真 Harry Potter characters, names and related indicia are trademarks of and(C)Warner Bros. Entertainment Inc. Harry Potter Publishing Rights(C)J.K.R.(C)2025 Warner Bros. Entertainment Inc.All rights reserved.
リトル・ハングルトンの墓地は、『ハリー・ポッター』作品のなかでも最大級のスケールを誇る。美術監督のスチュアート・クレイグは、この場所を古ぼけ、打ち捨てられたイメージにしようと考えた。その結果、植物が伸び放題の荒れ地にひときわ不気味なトム・リドルの墓が建てられている。
トム・リドルの墓制作過程 Warner Bros.Studio Tour London ‐ The Making of Harry Potter.
「墓は、グラスファイバーで組み立てられていたので、特別な下塗り塗料を使う必要があった」と語るのは、ペインター部門のポール・ウェスコット。お墓にはオフホワイト、死神には濃い茶色の下塗りを施した後、十分に乾燥させ、おがくずを使った養生作業に入る。
トム・リドルの墓制作過程 Warner Bros.Studio Tour London ‐ The Making of Harry Potter.
水を含ませたおがくずを墓に投げつけて表面を養生し、おがくずの水分が抜けてから、コケや地衣類の色を吹き付け、再び乾燥させて色を付ける作業を何度も繰り返す。この工程が終わると、貼り付けた全てのおがくずを取り除き、着色したおがくずを苔に見立てて接着剤で再度貼り付け、長い間放置された不気味で古びたトム・リドルの墓を表現するためのエイジング加工が施される。
トム・リドルの墓制作過程 Warner Bros.Studio Tour London ‐ The Making of Harry Potter.
特別企画「炎のゴブレット」では、高さ約3m、幅約3mのトム・リドルの墓が登場。実は、トム・リドルの墓はシリーズが進むにあたりデザインが変更されたため、2種類存在しているそう。今回スタジオツアー東京で見られるのは、『炎のゴブレット』の墓場のシーンで「ハリー・ポッターが羽交締めにされた腕をアニメーション化するために使われたもの」だとホッジスは語る。映画の緊張感と不気味さが見事に再現された展示が、訪れる人に迫力満点な体験を提供するはず。トム・リドルの墓の前に立つと、ヴォルデモートが復活した衝撃がよみがえることだろう。
トム・リドルの墓とヴォルデモートが背中合わせに
ちなみに、トム・リドルの墓の裏側には、ヴォルデモートのスタチューもあるので、背中合わせで並び合う2つを一緒に楽しみたいところ。公開から20周年経っても色褪せない本作だが、映画制作の裏側を知ることで新たな発見を得られるのも魅力。青々と燃え盛る炎のゴブレットのごとく、スタジオツアー東京にも“映画作りの情熱の炎”が静かに燃え続けている。