中国きってのヒットメーカーが贈る『清越坊の女たち』 女性たちの生き様&清代を再現した映像美にも注目
『瓔珞<エイラク>~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~』『尚食(しょうしょく)~美味なる恋は紫禁城で~』など中国でヒットを飛ばし続けるドラマ・プロデューサー、ユー・ジョン。これまでいくつも新感覚の時代劇を世に送り出してきた彼が新たに主人公に選んだのは、中国伝統の絹織物の技術を継承する女性たち。18世紀の清代、乾隆帝の後宮が舞台だった『瓔珞<エイラク>』と同時代に、蘇州の織物工房で働いていた市井の女性たちの生き様とは? 常に時代のニーズに応えた作品を生み出すユー・ジョンが手がけた大河ドラマ『清越坊の女たち~当家主母~』の見どころを解説していきたい。
【写真】水の都・蘇州の街を細部まで再現! 『瓔珞』プロデューサーこだわりの映像美
■ヒロイン・商家の女主人のドラマティックなサクセスストーリー
文化と経済が発展した乾隆帝時代は、絹織物の手工業が大きな産業となった清の最盛期。特に表と裏に模様が立体的に織られるコク絲(こくし)は、高度な技術を要する高級織物として宮廷で大人気で、『瓔珞<エイラク>~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~』の劇中にも、妃たちの贅沢な衣装として登場していた。
そんなコク絲を着る側ではなく作る側にスポットを当てたのが『清越坊の女たち~当家主母~』。本作は蘇州の織り元である清越坊を取り仕切る女主人・沈翠喜(しんすいき)が、家庭でも社会でも女性というだけで弱い立場に置かれながら必死に伝統を守って商売を盛り立てていく姿が描かれる。『瓔珞<エイラク>』でヒロインの瓔珞(えいらく)が正義を求めて後宮で出世していったように、沈翠喜も逆境にあらがって商売で成功を収め一人の女性として自立していくことになる物語はドラマティックで感動的。観る人に勇気を与えるサクセスストーリーに魅了されてしまうはずだ。
■“正妻”と“妾”が対決! 喜怒哀楽に満ちた愛憎ドラマ
『瓔珞<エイラク>』は、後宮の妃たちの陰謀渦巻く愛憎劇でも視聴者を引きつけたが、『清越坊の女たち』にも沈翠喜のライバルとなるもう一人のヒロイン、曽宝琴(そほうきん)が登場。“正妻”と“妾”という立場で一対一の対決が繰り広げられていく。
(C)2022 Huanyu Entertainment Co.,Ltd.
ただし、その闘いぶりは後宮とは違って実にリアル。夫の任雪堂(じんせつどう)は、家業のために沈翠喜を娶ったものの本当に愛しているのは幼なじみの元令嬢・曽宝琴で、没落し卑しい身分に身を落とした曽宝琴を身請けすると別宅に住まわせる。そんな夫の行動に業を煮やして別宅に乗り込んでいき、一緒にいる2人の現場を押さえる沈翠喜。果たしてこの緊迫した三角関係の行方は? 本作は任家の一族から使用人たちまでそれぞれの人間模様も鮮やかに描かれ、お屋敷ドラマとしても見ごたえがある。宮廷ドラマとはまた違った世界で先の読めない展開が待ち受ける喜怒哀楽に満ちた愛憎劇に注目だ。
■“東洋のヴェニス”を再現! 伝統文化の美しさにも注目
『瓔珞<エイラク>』は衣装や美術の美しさ、繊細な色調の映像も評判を呼んだが、『清越坊の女たち』も負けてはいない。本作は“中国のハリウッド”横店影視城(おうてんえいしじょう)のセットで、“東洋のヴェニス”と称される水の都・蘇州の街を細部まで再現し、美しい運河の風景や街の活気を生き生きと映し出す。
また、劇中では養蚕、糸づくり、染色、機織りなどのコク絲の制作工程をつぶさに描き出し、現在では貴重な芸術作品として北京や台北の故宮博物院に所蔵されている絹織物や絵画をも物語に登場させて、視聴者に中国の伝統美を堪能させてくれる。
こうした丹念なドラマ作りは、歴史と伝統文化を今に伝えようとする中国時代劇ならではの見どころであり、ヒットメーカーであるユー・ジョン自身のこだわりでもある。そんな彼の力作『清越坊の女たち』は、今の中国ドラマ界のパワーとトレンドを体感できる必見作といえるだろう。
『清越坊の女たち~当家主母~』DVDは、12月2日(金)リリース。U‐NEXTで独占先行配信開始中。