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『キングオブコント』2008年の第1回を見てみたら…最終決戦の審査方法が斬新すぎた!

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第1回でしか採用されなかった幻の“優勝者決定方法”とは

■ 審査員は“準決勝敗退者”!

 さまざまなお笑いの賞レースが今も試行錯誤し、ブラッシュアップし続けているのが審査方法だが、初期の『KOC』は特に斬新。準決勝で敗退した出場者らが客席に陣取り、審査する仕組みだった。第1回は100人が1人5点を持ち、合計500満点で採点していた。ただでさえネタを審査されるという緊迫した状況、さらに審査するのは自分たちの勝ち上がりを見届けた同業の敗退者たち…。決勝進出者にとって、これ以上にやりにくい状況も中々ないだろう。

 そうした側面がある一方、この方法には多くのプロのコント師らのシビアな評価が受け取れる、というメリットがあると言えるかもしれない。

 第1回は出場8組をAリーグとBリーグに分け、各リーグから最高点の1組が最終決戦に勝ち上がる仕組みで、敗退が決まると敗退者はコメントも一言二言で驚くほどあっさりと退場していく。『M‐1』第1回を見直したときにも感じたことだが、回を重ねて大会がスケールアップしていくうちに、「敗退が決まった者」に対して設けられる時間の尺が長くなっている印象がある。

■ 最も斬新だった最終決戦の“口頭発表”

 最終決戦はAリーグをバッファロー吾郎、Bリーグをバナナマンが勝ち上がり、まさに西と東のコントの雄が激突した。決戦前、緊張を口にする2組だが、相まみえると早速ヤンキーのようにメンチを切り合う即興コントをしてみせ、ダウンタウンに「からみがベテランやねん」「フレッシュじゃない」とツッコまれるなど、緊張感の中にもやはりベテランの余裕が感じられた。

 前述したように、予選は準決勝敗退者らが審査員だったが、第6回まで続いたため覚えている視聴者も少なくないだろう。長い『KOC』の歴史の中でも第1回しか採用されていない、もはや“幻”といえる審査方法が、実は最終決戦で行われた。2組がそれぞれ自分たちで審査し、「勝ったと思う方を口頭発表する」という審査方法だったのだ。この“審査方法”が発表されると、スタジオでもどよめきが起こっていた。

 この方法では、当然どちらも優勝したいがために自分たちの名前をあげる可能性が高く、現にバッファロー吾郎が「バッファロー吾郎」、バナナマンが「バナナマン」をあげて引き分け。続く敗退したファイナリスト6組による投票の結果、バッファロー吾郎が初代王者に輝いた。

 かつて松本は自身のラジオ番組で好きな格闘技を話題をした際、試合が判定にもつれ込んだ場合は自分たちでどちらが勝ったかを決めればいい、手を合わせた者同士、内心ではどちらが強いか分かっているはずで、それが潔いのではないか、という旨の発言をしていた。「ファイナリストによる口頭発表」は第2回以降、採用されていない。しかし、「日本一のコント師を決める大会」の最終決戦という舞台で、「自分たちが負けた」と感じた場合に正直に負けを認めることができるコント師の潔さに賭けたこの決定方法は、あまりに斬新だったが、今でも評価できるかもしれない。(文・前田祐介)

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