『ぼっち・ざ・ろっく!』vs『けいおん!』13年で何が変わった? 超名作バンドアニメを徹底比較
「まんがタイムきららMAX」(芳文社)にて連載中の、はまじあきによる漫画『ぼっち・ざ・ろっく!』通称『ぼざろ』。“陰キャ”な主人公がガールズバンドに入り活躍するという青春ストーリーで、2022年にアニメが放送されると、アニメファンからバンドファンまでザワつかせ人気を博した。本日からは、劇場総集編の前編も公開されている。ところで、ガールズバンドを主人公としたバンドアニメといえば、2009年より放送した『けいおん!』が思い出される。放送時期に13年の開きがあるこの2作だが、それぞれが青春バンドアニメの金字塔として語られ、比較されることもしばしば。今回は、『けいおん!』と『ぼざろ』が社会に何をもたらしたのか、考えてみたい。
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■主人公取り巻く環境から見る時代の変化
まず、2作品の主人公とその環境について見ていこう。『けいおん!』は、廃部寸前の桜ヶ丘高校軽音楽部に主人公の平沢唯を含め4人の女の子が入部するところからスタート。唯の入部理由は、軽音楽を「軽い音楽って書くから簡単そう」と思ったから。部室でおしゃべりをしたりお茶会を開いたりしながらゆる~く過ごす日々を中心に、4人がバンドとして少しずつ成長していくさまを描く日常系に近いストーリーだ。
一方『ぼざろ』は、友達0なので毎日押し入れの中でギターを1人黙々と練習し続けていた女子高生・後藤ひとり(あだ名は「ぼっち」)が、メジャーデビューを目指すガールズバンドに半ば強引に加入させられることから物語が動き出す。コミュニケーション能力が著しく低いぼっちが、キャラの全く異なる他3人のバンドメンバーに振り回されながらも「結束バンド」のメンバーとして徐々に“バンドマン”になっていく姿を描く。
どちらも原作は4コママンガであるため、基本的にはゆるっとしたギャグが豊富なアニメに仕上がっている。しかし、『けいおん!』が緩く楽しく青春をおう歌する女子高生たちを描くのに対し、『ぼざろ』はあまりぼっちたちの学校での姿は描かれず、拠点とするライブハウスやスタジオでのシーンが多い。『ぼざろ』は『けいおん!』に比べ、より具体的にバンドとしての夢を追いかけているという印象だ。
これは、SNS等の発達により誰でも“見つかり”さえすればスターになる可能性がある近年のエンタメ界を表しているように感じる。実際、ぼっちはバンド加入前、顔を隠して1人でギターを弾く姿を動画サイトに投稿し、まあまあネットで有名になっていた。夢の実現がより身近になり、その分ライバルも増えた今だからこそ、緩いギャグの中に若干のヒリヒリ感が加わったのが『ぼざろ』といえるのではないだろうか。