海外スターが演じたレアな“悪役・犯人役” トム・クルーズ、キアヌ・リーブスふんした殺人犯とは?

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『ノッティングヒルの恋人』などで知られる英国を代表するイケメン俳優、ヒュー・グラントが出演するホラー映画『異端者の家』が現在公開中だ。ヒューが演じるのは、布教活動で訪れたシスター2人を恐怖のどん底に突き落とす男の役で、キャリアでも類を見ない怪演によって圧倒的な存在感を放っている。今回はそんなヒューのように、これまでヒーロー役や王子様役のイメージが強かった海外のスター俳優たちの“レアな悪役・犯人役”を振り返りたい。(※以下、ネタバレを含みます。ご了承の上、お読みください)
【写真】ギャップがすごい! 悪役・犯人役を演じた映画スター ビフォー&アフター(12枚)
■トム・クルーズ
(C)AFLO
トム・クルーズは、スパイ・アクション映画『ミッション・インポッシブル』シリーズや『トップガン』シリーズなど代表作は数知れず。60代を迎えた現在も、トップ俳優として君臨し続けている。
常にヒーローを演じているイメージのトムだけに、悪役などやったことがなさそうに見えるが、実は経験している。名匠マイケル・マン監督がメガホンをとった『コラテラル』だ。本作でトムが演じるのは、主人公のタクシー運転手マックス(ジェイミー・フォックス)が乗せることになるビジネスマン風の男、ヴィンセントだ。コラテラルとは“巻き添え”の意。実はヴィンセントは殺し屋で、一晩で5箇所で“仕事”を行う彼に、マックスは無理やり付き合わされるはめになる。
本作でのトムはビジュアルからして斬新だ。黒髪でスクリーンを飾ることが多い彼だが、本作ではロマンスグレーの角刈りという出で立ち。映画の中でこれまでいくつもの命を救ってきた彼が、本作では冷酷な殺し屋として次々人を殺めていく。実際に鑑賞すると「やっぱりトムはヒーロー役だな」と感じざるを得ないが、それも彼が本作に挑戦しなければ気づけなかったこと。彼のチャレンジング・スピリットが光る一作だ。
■レオナルド・ディカプリオ
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レオナルド・ディカプリオは子役としてキャリアをスタートさせ、映画『ギルバート・グレイプ』で19歳にしてアカデミー助演男優賞にノミネート。映画史上に残る大ヒットを記録した『タイタニック』において世界的にブレイクし、以降その甘いマスクで日本でも“レオ様”の愛称で親しまれている。
そんなレオ様がそれまでのイメージを刷新し、初めて悪役に挑んだのが、クエンティン・タランティーノ監督による西部劇『ジャンゴ 繋がれざる者』だ。南北戦争前のアメリカ南部を舞台にした本作でディカプリオが演じたのは、多く黒人奴隷を所有する農園主カルヴィン・キャンディ。口ひげを蓄え威厳たっぷりにカルヴィンを演じているが、注目は主人公のジャンゴ(本作も主演はジェイミー・フォックス)らに対し、かつて自分に仕えていた奴隷の頭がい骨を片手に講釈を垂れるシーンだ。黒人は白人に劣った人種であることを“科学的”に主張し、それを純粋に信じて疑わない様子は、毒っ気がなく雄弁な語り口であるためにかえって現代の観客から見たら恐ろしいものとなっており、出演シーンは限られているがそのインパクトは抜群だ。
■キアヌ・リーブス
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日本映画『新幹線大爆破』にインスパイアされたサスペンス・アクション映画『スピード』のほか、『マトリックス』シリーズの成功で世界的な名声を得たキアヌ・リーブス。近年では『ジョン・ウィック』シリーズでの激しいアクションでも評価を高めている。また、そのハリウッドスターらしからぬ質素で風変わりなプライベートは度々パパラッチされ、すっかりネットミームとしても愛されている。
そんなキアヌが珍しく悪役を演じたのが、サスペンス映画『ザ・ウォッチャー』だ。本作で彼が演じたのは、都会で孤独に暮らす女性を次々に手をかけていく連続絞殺魔デヴィッド・アレン・グリフィン。ターゲットの女性の生活パターンを執拗に調べ上げた上で冷酷非道な犯行に及ぶ。当時「ストーカー」という言葉が普及し始めた頃で、次々に無慈悲に女性に手をかけていくキアヌの演技は、観客を震え上がらせた。