『ちょっとだけエスパー』が、パラレルではなく1本線の世界だった意味 名言だらけの最終回を振り返る
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1000万人という大きな単位に揺さぶられることもあったが、34人の命を救ったら、未来が大きく動くことは想像にたやすい。兆の目的はあくまでも「四季を救うこと」。そのために何人が犠牲になっても関係ないと考えてきた。犠牲になるはずだった多くの人を救うことで、四季を取り巻く世界そのものが大きく変わっていく可能性があるとは考えていなかっただろう。さらに文太たちは、この場にフミト(=兆)も呼んだ。
予定外の状況を前にした兆に、「世界はどんどん変わってる。試してないことは、まだいくらでもあるはずだ!」と叫ぶ文太。そして「変えるんですよ。あなたと我々で」と訴えた。
だがそこにフミトだけでなく、四季も現れる。自分の未来や、兆の行動の原因が自分だと知り、2人のぶんちゃんと自分をこの世から消すしかないと、追い詰められていた。ノナマーレの社員や、1000万人の命“など”と、四季以外の世界を軽く考えていた兆だが、四季が、文太を消そうとすることは止めた。愛する人に、人殺しなんてしてほしくないのは当然である。
自暴自棄になった四季を止めたのは文太。文太の愛が止めた。「10年だってかけがえない!」という文太の言葉に深くうなずいた。そして続く「俺の半年は、一生分だった」に涙した。「忘れてしまっても、相手が死んでも、愛は残る」「愛してる。四季を愛してる。四季のいるこの世界を、俺は愛する」。
直後にパネルが落下。巻き込まれる文太と、円寂、桜介、半蔵。
そこに登場したのは、やはり白い男(麿赤児)だった。
彼の正体は、2070年の兆。兆の次の京(ケイ)。「過去を踏まえることはできても、変えることはできない。変えられるのは、今ここにいる者」「彼らに任せよう」と諭す。第5話で「ジャンクションを元に戻す」と言って、市松らを少し先の時間へと飛ばした白い男が、ここではパネルの下敷きになる寸前だった文太ら4人を飛ばした。第5話では雪が、そして今度は桜の花びらが。四季を想い続けるように舞った。

