なぜアメリカではTVドラマの映画化が少ないのか?ヒット見込みへのシビアさが影響

テレビ朝日系列の『相棒』、日本テレビ系列の『悪夢ちゃん』、TBS系列の『闇金ウシジマくん』、フジテレビ系列の『ガリレオ』、NHKの『タイムスクープハンター』、テレビ東京系列の『鈴木先生』など、これら各局の人気ドラマに共通するのが“映画化”である。日本のテレビドラマの場合、高視聴率を記録すれば、必ずと言っていいほど“映画化”がささやかれ、そもそも、映画化を前提に作られている作品も存在する。では、ドラマ大国アメリカの場合はどうなのだろうか。
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まず、日本におけるテレビドラマの映画化の背景を確認しておきたい。そもそも日本では、テレビ局が映画製作を手掛けていることも多いため、テレビから映画へ、映画からテレビへと、スムーズに移行できる環境が整っている。また、既に知名度があり、人気を誇っているテレビドラマであれば、最低でも興収10億円は突破できるだろうと、配給会社は歓迎する向きが強い。
一方、アメリカはというと、世界的にヒットしたテレビドラマは数多くあっても、映画化されていないドラマシリーズが大半なのだ。世界中に販売でき、利益が確実に返ってくることから、2時間弱のパイロット版に100億円かけることもあるのに、映画化には消極的。また、現在、DVDとブルーレイが発売中の『ヴェロニカ・マーズ ザ・ムービー』はドラマの映画化ではあるが、資金調達サイト「キックスターター」で延べ9万1535人の支援者を集め、総額で約570万 ドルを調達して映画化が実現したという、いわばファンの力により完成した作品。なぜ、こうも制作されないのだろうか。ワーナー・ホーム・ビデオの関係者は、こう話す。
「映画作品を作る上で、注目に値する今後の展開が描けるか、ファン層以外の人にも支持されるかどうかが大事だと思います。ドラマは話数があるので、話数分の売上が見込めますが、映画は1話(本)なのでドラマ並みのヒットでは厳しく、映画単体である程度のヒットが見込める必要がある。ドラマの継続・打ち切りの動向を見ても、米国のシビアさは十分想像できますから、そういう面において、『ヴェロニカ~』の場合は、制作費をファンがある程度投資したので、売上という点ではハードルが若干下がったのかもしれません」。