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『グリーン・デスティニー』続編、大手劇場チェーンがボイコットするワケ

映画

劇場公開と同時にネットでも配信、ヒット作続編の行方は?(『グリーン・デスティニー』場面写真)
劇場公開と同時にネットでも配信、ヒット作続編の行方は?(『グリーン・デスティニー』場面写真)(C)AFLO

 映画『グリーン・デスティニー』続編をめぐり、アメリカの劇場チェーンの間でボイコット運動が起こっている。2000年に北米公開され、4部門でオスカーに輝いた『グリーン・デスティニー』はアジア人をキャストに据えた外国語映画であるにも関わらず、北米で1億2800万ドルを売り上げる大ヒットとなった。

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 15年の年月を経てついに実現した続編『Crouching Tiger,Hidden Dragon:The Green Legend(原題)』は現在ニュージーランドと中国で撮影されている。北米公開は来年8月だが、製作のワインスタイン・カンパニーは、劇場公開と同時にネットフリックスを通じてオンラインでも映画を配信すると発表。

 激怒した大手劇場チェーンのリーガル・エンタテインメント、 AMC、カーマイク・シネマズ、シネマークU.S.A.らは、同作品をIMAXスクリーンでかけないと宣言した。声明の中で、リーガルは「同じ映画をIMAXのビッグスクリーンとスマホの小さな画面で同時に見せる実験に参加するつもりはない」と理由を説明している。

 最新作が劇場公開と同時にネット配信でも見られるケースは、これまでにもあった。それらのケースはすべて、IMAXはおろか全国規模で上映されることもない、低予算のインディーズ映画だったため、問題にならなかったが、大ヒット作の続編となると、話が違う。DVDリリースの時期が早まってきていることをめぐって、近年、劇場主とスタジオの摩擦はますます高まっており、2011年にユニバーサルがエディ・マーフィー、ベン・スティラー主演作『ペントハウス』を、劇場公開3週間後に普段より高い値段でネット配信する企画を試みた時も、スタジオは劇場主の大反対のため断念することになった。

 劇場主にとっては頭が痛い一方で、ネットフリックスにとって、時代の流れは、新しいチャンスの数々を意味する。ネットでDVDのレンタル注文を受け、郵送で届ける会員制サービスとして始まった同社は、近年、郵送からダウンロード式に移行するだけでなく、『ハウス・オブ・カード 野望の階段』などで自社作品の製作にも乗り出した。最近ではヨーロッパにも進出、世界を舞台に大規模なビジネス展開を行う意欲を見せている。

 今回の一連の大騒ぎが、同社に多少なりともPR効果をもたらしたのも事実で、『Crouching Tiger…』の同時配信が決行されようがされまいが、最後に笑うのはネットフリックスのようだ。(文:猿渡由紀)

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